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企業主導型保育園とは|認可との違いと保育士が働くメリット・注意点

「企業主導型保育園(きぎょうしゅどうがたほいくえん)」という言葉を、求人サイトや園見学で見かけたことはありませんか。

「認可外って聞くと、ちょっと不安…」「認可保育園と何が違うの?」「保育士として働きやすいのかな?」と、気になっている方も多いはずです。

実は企業主導型保育園は、国の助成を受けて運営される小規模な園が多く、保育士にとって働き方の選択肢のひとつとして注目されています。

この記事では、企業主導型保育園のしくみや認可保育園との違いを整理しながら、保育士として働くうえでのメリットや注意点、園選びのコツまで、公的なデータをもとにわかりやすく解説します。

この記事を読んでわかること
  • 企業主導型保育園のしくみと、認可保育園との具体的な違いについて
  • 保育士として働くメリットと、事前に知っておきたい注意点について
  • 自分に合う園かどうかを見きわめる、園選びのチェックポイントについて
目次

1. 企業主導型保育園とは?国が助成する認可外の保育施設

1. 企業主導型保育園とは?国が助成する認可外の保育施設

企業主導型保育園とは、企業が従業員の働き方に合わせて設置・運営できるように、国が費用を助成する保育施設のことです。

分類上は「認可外」ですが、国の助成を受けて運営される点が大きな特徴です。

企業主導型保育園ができた背景

この制度は、平成28年度(2016年度)に、待機児童の解消と多様な働き方の支援を目的として始まりました。夜勤やシフト勤務など、認可保育園の開所時間だけでは対応しきれない働き方をサポートするねらいがあります。

近年は待機児童の数が大きく減っています。こども家庭庁の調査では、待機児童数は令和7年(2025年)4月時点で2,254人となり、ピークだった平成29年(2017年)の26,081人から10分の1以下にまで減少しました。

待機児童と企業主導型保育園

それでも、待機児童の90.6%は0〜2歳の低年齢児に集中しており(とくに1・2歳児が全体の83.3%にあたる1,877人)、企業主導型保育園は今も低年齢児の受け皿として一定の役割を担っています。

実際、企業主導型保育園も定員の75.7%を0〜2歳が占めており(0歳21.2%、1・2歳54.5%)、待機が最も深刻な年齢層と、企業主導型が受け入れる年齢層は大きく重なっています。

規模も大きく、定員は全国で約10万人分(令和6年度助成決定・令和7年3月31日時点で103,763人)にのぼります。

出典:保育所等関連状況取りまとめ(令和7年4月1日)/こども家庭庁 企業主導型保育事業の実施状況について(速報版)/こども家庭庁

「従業員枠」と「地域枠」のしくみ

企業主導型保育園の定員は、大きく2つの枠に分かれています。

従業員枠

施設を設置した企業や、提携している企業で働く従業員の子どもが利用する枠です。企業の福利厚生として使われるのが基本です。

地域枠

企業とつながりのない、地域に住む家庭の子どもが利用できる枠です。地域枠は定員の50%まで設けることができます。

保育士として働く場合、この2つの枠から子どもが集まるため、さまざまな家庭の子どもと関わる機会があります。

事業所内保育所(企業内保育)との違い

「企業が設ける保育園」というと、認可の事業所内保育事業と混同されがちです。大きな違いは、認可を受ける必要があるかどうかです。

認可の事業所内保育事業は自治体の認可を受けて運営されますが、企業主導型保育園は自治体の認可を受けずに、国(児童育成協会)の助成を受けて運営されます。

そのため、地域枠を設けられたり、複数の企業が共同で利用できたりと、設計の自由度が高いのが特徴です。

2. 企業主導型保育園と認可保育園の違いを比較

保育士として働き先を考えるとき、認可保育園との違いを知っておくと選びやすくなります。まずは全体像を表で整理します。

管轄は国、入園契約は園と直接

認可保育園は自治体が管轄し、入園も自治体の利用調整(いわゆる点数制)を通して決まります。

一方、企業主導型保育園は国が管轄し、入園は保護者と園が直接契約する形です。空きがあれば年度の途中でも入りやすいため、育休明けのタイミングに合わせて入園する家庭も少なくありません。

保育料は世帯所得に関係なく園ごとの定額

認可保育園の保育料は世帯所得によって変わりますが、企業主導型保育園は年齢ごとに定額が設定されています。

所得に左右されないため、共働きで収入が多い家庭ほど割安に感じられるケースもあります。

設備・職員配置は認可と同等の基準

「認可外」と聞くと基準がゆるいイメージを持たれがちですが、企業主導型保育園の設備や職員配置は、認可の小規模保育と同等の基準が求められます。

具体的には、保育に従事する職員の半数以上が保育士資格を持つこと、そして認可と同じ配置基準に1名を加えた人数を配置することが条件です。

基準そのものは、認可と大きく変わらないと考えてよいでしょう。

3. 企業主導型保育園ならではの保育内容の特徴

3. 企業主導型保育園ならではの保育内容の特徴

働き先を選ぶうえで、実際にどんな保育をすることになるのかは気になるところです。企業主導型保育園には、規模や成り立ちからくる保育内容の特徴があります。

担当するのは0〜2歳が中心になりやすい

企業主導型保育園は、0〜2歳の乳児をメインに受け入れる園が多くなっています。

乳児保育にじっくり携わりたい方には合っていますが、幼児クラスの活動や運動あそびの経験を積みたい方は、その園の受け入れ年齢を確認しておくとよいでしょう。

園庭がなく、外遊びは近隣公園への引率が中心の園も

ビルの一室や商業施設のなかに開設される園も多く、自前の園庭を持たないケースが少なくありません。その場合、外遊びは近くの公園への引率が中心になります。

移動時の安全確認など、園庭がある園とは違った配慮が必要になる点は、あらかじめ知っておきたいところです。

「3歳の壁」で、卒園まで関わる子は少なめ

0〜2歳中心の園では、子どもが3歳になるタイミングで別の園へ転園していく「3歳の壁」があります。

0〜2歳の育ちにしっかり寄り添える一方で、卒園まで長く関われる子は少なめです。子どもの成長を長期間見守りたい方にとっては、認可保育園との違いとして意識しておくとよいポイントです。

4. 企業主導型保育園で働く保育士のメリット

4. 企業主導型保育園で働く保育士のメリット

ここからは、保育士が企業主導型保育園で働くときに感じやすいメリットを見ていきます。

小規模で子ども一人ひとりにじっくり向き合える

企業主導型保育園は、少人数の園がほとんどです。こども家庭庁の集計では、定員13〜19人の施設が最も多く全体の36.5%、次いで6〜12人が32.1%を占めています。つまり、約7割が20人未満の小規模な園です。

クラスの人数が少ないぶん、一人ひとりの発達や気持ちにじっくり向き合いやすく、「大規模園の慌ただしさが苦手」という方には働きやすい環境といえます。

行事が少なめで残業・持ち帰りが軽い傾向

大きな行事や発表会が少ない園が多く、その準備にともなう残業や持ち帰り仕事が比較的軽い傾向があります。日々の保育に集中したい方や、プライベートの時間を確保したい方にとっては、続けやすさにつながります。

ただし行事の有無は園によって差があるため、見学や面接のときに確認しておくと安心です。

柔軟な保育・シフトを組みやすい

企業主導型保育園は、設置企業の働き方に合わせて開所時間を設定できます。

そのため、夜間や休日に対応する園もあり、「日中のフルタイム以外の働き方をしたい」という保育士のニーズに合う求人が見つかることもあります。

5. 企業主導型保育園で働くときに知っておきたい注意点

5. 企業主導型保育園で働くときに知っておきたい注意点

メリットだけでなく、事前に知っておきたい注意点もあります。あらかじめ理解しておくことで、入職後のギャップを防げます。

園によって保育の質や運営体制に差がある

企業主導型保育園は、保育を専門としない企業が母体になっているケースもあります。そのため、園ごとに保育の考え方や運営体制に差が出やすいのが実情です。

運営会社が保育の実績を持っているか、園長やリーダーがどんな方針を持っているかは、見学時にしっかり確認したいポイントです。

無資格スタッフのフォロー役を担うことがある

職員の半数以上が保育士であればよいという基準のため、保育補助として無資格のスタッフが働いている園もあります。

有資格の保育士は、そうしたスタッフへの声かけや指導を担う場面が出てくることも少なくありません。「チームをまとめる立場になりやすい」と考えると、経験を積むチャンスにもなります。

定員割れ・休園のリスクを事前に確認

利用者が集まらず定員割れになると、園の経営が不安定になり、休園につながる可能性もあります。

設置企業だけでなく、複数の企業と共同利用契約を結んで安定的に子どもを受け入れているかどうかは、長く働くうえで確認しておきたいところです。

なお、企業主導型全体の定員充足率は、4月時点では低め(令和6年4月で71.2%)でも、年度が進むと上昇し、令和7年1月時点では81.5%まで回復しています。

年度途中入園がしやすい制度だからこそ、4月時点の空きだけで判断せず、年間を通じた充足の推移や共同利用契約の安定性まで見ておくと、長く働ける園を選びやすくなります。

6. 企業主導型保育園の給料・処遇改善の考え方

6. 企業主導型保育園の給料・処遇改善の考え方

気になる給料や待遇について、認可保育園との違いを整理します。

認可と同じく処遇改善加算の対象になる

企業主導型保育園も、保育士の給料を底上げする「処遇改善等加算」の対象です。

全職員の給料を底上げする処遇改善I、役職や経験に応じて上乗せされる処遇改善II、全職員が対象の処遇改善IIIといった手当が、認可保育園と同じように支給されるしくみになっています。

そのため、「認可外だから給料が低い」と決めつける必要はありません。園の配分ルールによって手取りが変わるため、面接時に手当の内訳を確認しておくとよいでしょう。

求人票で基本給と手当のバランスを確認

月給の金額だけでなく、その内訳を見ることが大切です。基本給が低く手当で上乗せしている場合、ボーナスが「基本給の◯ヶ月分」で計算されると、結果的に年収が伸び悩むことがあります。

基本給・各種手当・賞与のバランスを、求人票でていねいに確認しましょう。

7. 保育士が企業主導型保育園を選ぶときのチェックポイント

安心して長く働ける園を選ぶために、見学や面接でチェックしたい3つのポイントを紹介します。

定員の充足状況と共同利用契約の安定性

子どもがどのくらい集まっているか、複数の企業と契約して安定的に利用者を確保できているかを確認しましょう。

定員に対して在籍数が極端に少ない場合は、経営の安定性に注意が必要です。

保育士の配置と職員の雰囲気

保育士がどのくらい配置されているか、職員同士がどんな雰囲気で働いているかは、見学でこそわかる部分です。無資格スタッフとの役割分担や、フォロー体制が整っているかもあわせて見ておくと安心です。

国が直接チェックする運営の透明性

企業主導型保育園は、国(児童育成協会・こども家庭庁)が立入調査などを通じて全国一律の基準で直接チェックしています。

運営情報や定員の充足状況は、企業主導型保育事業のポータルサイトでも公開されています。応募前に園の情報を調べておくと、より納得して選べます。

出典:企業主導型保育事業ポータル(公益財団法人児童育成協会)

8. 企業主導型保育園で働くのが向いている保育士

8. 企業主導型保育園で働くのが向いている保育士

ここまでの内容をふまえて、企業主導型保育園がどんな保育士に向いているかを整理します。自分の希望と照らし合わせてみてください。

企業主導型保育園が向いている保育士

  • 少人数で、子ども一人ひとりにじっくり関わりたい
  • 行事の準備よりも、日々の保育に集中したい
  • 時短や変則シフトなど、柔軟な働き方を選びたい
  • 0〜2歳の乳児保育に、専門的に携わりたい

認可保育園のほうが合うこともある保育士

  • 大規模園で行事の運営など、幅広い経験を積みたい
  • 3〜5歳の幼児クラスや、卒園まで見届ける保育をしたい
  • 整った研修・教育体制のなかで、じっくり成長したい

どちらが良い・悪いということではなく、大切にしたい保育や働き方に合うかどうかで選ぶことがポイントです。

よくある質問

企業主導型保育園の新規開設は止まっているの?

新しく施設を整備するための助成の受付は、令和4年度以降、原則として停止されています。

ただし、すでに運営されている園は継続しており、求人も出ています。企業が新たに企業内保育を始めたい場合は、既存の園との共同利用契約や事業承継といった方法がとられています。

企業主導型保育園での勤務経験は、認可保育園への転職で評価されますか?

企業主導型保育園は認可と同等の職員配置基準で運営されており、乳児保育の実務経験として評価される場合が一般的です。

とくに0〜2歳の担当経験や少人数保育でのマネジメント経験は、認可保育園でも活かしやすい強みになります。

評価の考え方は転職先によって異なるため、面接時にこれまでの担当年齢や役割を具体的に伝えると、経験が伝わりやすくなります。

幼保無償化の対象になる?

企業主導型保育園も無償化の対象です。3〜5歳児は標準的な利用料が無償になり、0〜2歳児は住民税非課税世帯が対象です。

ただし地域枠を利用する場合は、お住まいの市区町村から保育の必要性の認定を受けることが条件になります。

保護者から質問されることも多いので、保育士としても押さえておくと安心です。最新の要件は、お住まいの市区町村やこども家庭庁の公的情報で確認してください。

まとめ:企業主導型保育園は働き方の選択肢のひとつ

まとめ:企業主導型保育園は働き方の選択肢のひとつ

企業主導型保育園は「認可外」ではありますが、設備や職員配置は認可と同等の基準が求められ、国が直接チェックする透明性の高い施設です。

小規模で子どもに向き合いやすく、行事が少なめで続けやすいといった、保育士にとっての魅力もあります。

一方で、0〜2歳中心の保育になりやすい点や、園によって保育の質・経営の安定性に差がある点もあるため、受け入れ年齢や運営体制を見学時にしっかり確認することが大切です。

「認可か認可外か」だけで判断せず、自分の働き方や大切にしたい保育に合うかどうかで選ぶことが、後悔しない園選びの第一歩です。

企業主導型保育園も、あらためて選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。

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