「ヨコミネ式ってどんな教育法なの?」「ヨコミネ式の園で働くと大変そう…」と気になっていませんか。
ヨコミネ式は、鹿児島県で生まれた幼児教育法で、逆立ち歩きや読み書きなど、子どもの「できた!」を積み重ねていくことで知られています。
導入している保育園や幼稚園は全国に広がっており、転職・就職先として検討する保育士さんも少なくありません。
この記事では、ヨコミネ式の基本的な考え方や特徴から、保育士として働くときに知っておきたいメリット・デメリットまで、わかりやすくまとめました。
- ヨコミネ式の基本的な考え方と「3つの力」「4つのやる気スイッチ」などの特徴について
- 1日の流れや、読み・書き・計算、体操、音楽といったカリキュラムの内容について
- 保育士として働くメリット・デメリット、向いている人、求人・面接のポイントについて
1. ヨコミネ式とは?「すべての子どもが天才である」を土台にした教育法

ヨコミネ式(ヨコミネ式教育法)とは、「すべての子どもが天才である」という考え方をベースにした幼児教育法です。
どの子にも生まれ持った力があるととらえ、子どもが自分から学ぼうとする力を伸ばすことを大切にしています。
ヨコミネ式を生み出した横峯吉文氏
考案したのは、鹿児島県で長く保育園を運営してきた横峯吉文氏です。
30年以上子どもたちと向き合うなかで、子どもが夢中になって伸びていく共通の流れを見つけ、ひとつの方法としてまとめました。
園児が逆立ち歩きや跳び箱に挑戦する様子がテレビで紹介され、全国的に知られています。
ヨコミネ式が目指すのは子どもの「自立」
ヨコミネ式が目指すのは、子どもの「自立」です。大人が教え込むのではなく、子どもが自分で考え、判断し、行動できるようになることをゴールにしています。
そのために欠かせないのが、次に紹介する「3つの力」です。
2. ヨコミネ式が育てる3つの力(心の力・体の力・学ぶ力)
ヨコミネ式では、自立するために必要な力を「心の力」「体の力」「学ぶ力」の3つに分けています。
園によっては、ここに「音楽の力」を加えて4つとする場合もあります。

心の力
心の力は、思いやりの気持ちや、うまくいかなくてもあきらめずに取り組む力です。
友だちと関わったり、できないことに挑戦したりする経験を通じて育てていきます。
体の力
体の力は、かけっこ・跳び箱・逆立ち・柔軟など、体を思いどおりに動かす力です。ヨコミネ式では、毎日体を動かす時間を大切にしています。
文部科学省の「幼児期運動指針」でも、幼児期は体の動かし方を身につけやすい時期とされ、遊びを中心に「毎日、合計60分以上、楽しく体を動かす」ことがすすめられています。
毎日体を動かすことを大切にするヨコミネ式は、こうした国の考え方にも近いといえます。
学ぶ力
学ぶ力は、読み・書き・計算を通じて、自分から学ぼうとする姿勢を育てる力です。
難しい勉強をさせることが目的ではなく、「わかると楽しい」という感覚を積み重ねることを大切にしています。
3. ヨコミネ式が大切にする「4つのやる気スイッチ」

ヨコミネ式では、子どもが自分から動き出す気持ち、つまり「やる気」を引き出すために、子どもがもともともっている4つの心理をうまく活用します。
これを「4つのやる気スイッチ」と呼びます。
①子どもは競争したがる
順位や勝ち負けがあると、子どもは夢中になって取り組みます。
②子どもは真似をしたがる
できる友だちの姿を見ると、「自分もやってみたい」という気持ちがわいてきます。
③子どもはちょっとだけ難しいことをしたがる
簡単すぎず難しすぎない、少し頑張ればできる課題に意欲を見せます。
④子どもは認められたがる
できたことを認めてもらえると、うれしくなり、次への意欲につながります。
これらのスイッチを意識して、環境づくりや声かけを工夫することで、子どもが自分から取り組む姿を引き出していきます。
こうした着眼点は、幼児期の発達の特徴とも重なります。文部科学省の資料では、4〜5歳ごろは友だちと一緒に遊ぶなかで、大人の動きをまねしたり、自分たちでルールや決まりを作ったりすることに興味を示すとされています。
「真似したがる」「競争したがる」といったヨコミネ式の視点は、理念が先行したものではなく、こうした発達段階の特徴に沿ったものと整理できます。
4. ヨコミネ式の土台となる「才能開花の法則」
ヨコミネ式には、子どもがぐんぐん伸びていく流れを示した「才能開花の法則」という考え方があります。流れは次のようなものです。
- できる → おもしろい
- おもしろい → もっと練習する(繰り返す)
- 練習する → 上手になる
- 上手になる → もっと楽しくなり、次の段階へ進む
小さな「できた」を入り口に、このよい流れを繰り返すことで、子どもは自分から力を伸ばしていきます。
保育者の役割は、最初の「できた」をつくり、しっかり認めてあげることです。
5. ヨコミネ式の1日の流れと主なカリキュラム

ヨコミネ式の園では、読み・書き・計算、体操、音楽といった活動を毎日の生活に取り入れているのが特徴です。
園によって内容は異なりますが、代表的なカリキュラムと1日の流れを紹介します。
主なカリキュラム
読み・書き・計算(自学自習)
ひらがなや数字に、遊びの延長で少しずつ取り組みます。年齢に合わせて、絵本の読み聞かせからカードやプリントを使った学習へと進めます。
長い時間座らせるのではなく、短い時間で集中して行うのが基本です。
体操
かけっこ、跳び箱、ブリッジ、逆立ち歩きなどに取り組みます。
いきなり難しいことをさせるのではなく、一人ひとりの段階に合わせて少しずつステップアップしていきます。
音楽
ピアニカや歌などを通じて、リズム感や、表現する楽しさを育てます。
これらの活動を通して、子どもが「できた!」を積み重ねられるようにしているのが、ヨコミネ式のカリキュラムの特徴です。
ヨコミネ式の園の1日の流れ(例)
園によって異なりますが、1日の流れの一例を紹介します。
- 朝:登園、体操(かけっこ・跳び箱など)
- 午前:読み・書き・計算などの活動、自由遊び
- 昼:給食・お昼寝
- 午後:音楽や外遊び、順次お迎え
6. ヨコミネ式と他の幼児教育法(モンテッソーリなど)との違い
幼児教育法には、ヨコミネ式のほかにもモンテッソーリ教育やシュタイナー教育などがあります。
転職先を選ぶときは、それぞれの方針の違いを知っておくと、自分に合う園を見つけやすくなります。

どれが優れているということではなく、大切にしている方針が異なります。園を選ぶときは、自分が大事にしたい保育観と合っているかを確認するとよいでしょう。
7. ヨコミネ式の保育園で働くメリット・デメリット

ヨコミネ式の園には、はっきりした方針ならではのよさと、気をつけておきたい点があります。両方を知っておくと、自分に合うかどうかを判断しやすくなります。
メリット
- 明確な方針のもとで保育できる:
何を大切に保育すればよいかが分かりやすく、迷いにくい。 - 子どもの成長を実感しやすい:
「できた」の瞬間に立ち会える場面が多く、やりがいを感じやすい。 - 指導のスキルが身につく:
体操や自学自習の指導など、他の園でも活かせる力を伸ばせる。 - 未経験でも学びやすい:
指導の進め方が決まっている園が多い。
デメリット・注意点
- 活動が多く、進め方を覚えるまでは学習と準備が必要になる。
- 自由遊びを中心にした保育をしたい人には、活動の多さが負担に感じられることがある。
- 成果が見えやすい分、保護者からの期待が大きくなりやすい。
- 体を動かす活動が多いため、けがの予防や見守りなど、安全管理への配慮が欠かせない。
メリット・デメリットは、園の方針や運営体制によっても変わります。見学や面接のときに、実際の1日の流れや研修体制を確認しておくと安心です。
8. ヨコミネ式の保育園の給与・待遇は?
「ヨコミネ式だから給与が高い(または低い)」と決まっているわけではありません。給与は園や地域、経験によって変わります。
まずは保育士全体の平均を知っておくと、求人を比べるときの目安になります。
厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査によると、保育士全体の平均年収はおおむね400万円前後とされています。ただしこれは全国平均で、園の規模や地域、経験によって差があります。
出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
ヨコミネ式の園では体操や音楽の指導に力を入れているため、担当する内容によって手当がつく場合もあります。
求人票を見るときは、基本給だけでなく、賞与や手当まで含めた年収で比べるのがポイントです。
9. ヨコミネ式の保育園に向いている保育士
これまでの内容をふまえると、ヨコミネ式の園にはこんな保育士さんが向いています。
- 子どもの「できた!」を一緒に喜び、成長を後押ししたい人
- 体を動かす活動や、指導のスキルを高めていきたい人
- 方針がはっきりした園で、じっくり長く働きたい人
一方で、一人ひとりのペースを大切にした自由な保育をしたい人には、活動の多さが合わないこともあります。
気になる場合は、実際の園の様子を確かめてから決めると安心です。
10. ヨコミネ式の導入園・求人の探し方

就学前に習い事をする子どもは増えています。学研教育総合研究所の調査では、就学前の子どもの56.1%が何らかの習い事をしており、人気は水泳・英会話・体操教室などです。
運動や学びを保育に取り入れるヨコミネ式は、こうした保護者のニーズとも合っており、導入する園も各地に広がっています。
特に注目したい点
保護者に人気の習い事の上位に「体操教室」が入っている点と、国が示す運動量の目安との関係です。
文部科学省の幼児期運動指針では、遊びを中心に毎日合計60分以上体を動かすことが望ましいとされています。
体操を毎日の保育に取り入れるヨコミネ式は、保護者が求める運動系の学びと、公的な指針の双方に沿った環境といえ、導入園が広がっている背景のひとつと考えられます。
出典:学研教育総合研究所「幼児白書Web版(2022年9月調査)」
ヨコミネ式の公式サイトで導入園を調べる
ヨコミネ式の公式サイトには、全国の導入園がのっています。気になる地域の園を見つけて、そこから採用情報を調べる方法です。
保育士向けの求人サイト・転職エージェントで探す
求人サイトで「ヨコミネ式」と検索したり、転職エージェントに希望を伝えたりすると、条件に合う園を紹介してもらえます。
求人票だけでは園の雰囲気はわかりにくいものです。応募前に見学や体験ができるか確認すると、入職後のミスマッチを防ぎやすくなります。
入職前に確認したいチェックリスト
- 研修や先輩によるサポート体制が整っているか
- 1日の流れや活動量が、自分の希望する保育に合っているか
- 残業や持ち帰り仕事はどのくらいあるか
- 体を動かす活動が多いため、安全管理の体制が整っているか
11. ヨコミネ式の園の面接・志望動機で意識したいポイント
ヨコミネ式の園の面接では、方針への理解や共感が見られます。次の点を意識すると、志望動機を伝えやすくなります。
- なぜヨコミネ式なのかを自分の言葉で伝える:
「子どもの『できた』を一緒に喜びたい」など、自分の保育観と結びつけると伝わりやすくなります。 - 成功体験を大切にする姿勢を示す:
無理にやらせるのではなく、少しずつ成功体験を積み重ねる関わりに共感していることを伝えます。 - 学び続ける意欲を伝える:
指導の進め方を前向きに学んでいきたいという姿勢は、好印象につながります。
よくある質問
-
ヨコミネ式は厳しすぎるという声もありますが本当ですか?
-
体操や学習に力を入れているため、「厳しそう」という印象を持たれることがあります。
ただ、ヨコミネ式が大切にしているのは無理にやらせることではなく、「できた」という成功体験の積み重ねです。
進め方や雰囲気は園によって異なるため、実際に見学して確認するのがおすすめです。
-
未経験でもヨコミネ式の園で働けますか?
-
保育士資格があれば、未経験からの就職も可能です。
研修が用意されている園が多く、少しずつ慣れていけます。
-
ヨコミネ式で働くのに特別な資格は必要ですか?
-
基本的には保育士資格があれば働けます。
体操や音楽などの特別な資格が必須というわけではなく、入職後に園で指導法を学ぶのが一般的です。
-
保育士自身も逆立ちや跳び箱ができる必要がありますか?
-
必ずしも保育士自身が高度な運動をこなせる必要はなく、大切なのは子どもの段階に合わせて安全に指導・見守りができることです。
多くの園では指導の進め方が決まっており、入職後の研修で学べます。
不安な場合は、面接や見学のときに指導体制やサポートの有無を確認しておくと安心です。
まとめ:ヨコミネ式は子どもの「できた」を積み重ねる教育法

ヨコミネ式は、「すべての子どもが天才である」という考え方を土台に、子どもの自立を目指す幼児教育法です。大切なポイントを振り返っておきましょう。
- 「心の力・体の力・学ぶ力」の3つの力を育てる
- 「4つのやる気スイッチ」と「才能開花の法則」で、子どもの意欲を引き出す
- 読み書き計算・体操・音楽を毎日の保育に取り入れ、「できた」を積み重ねる
- 働くと成長を実感しやすくスキルも身につく一方、覚えることの多さや安全管理への配慮も必要
- 給与は園によって異なるため、手当まで含めた年収で比べるのが大切
方針がはっきりしている分、自分の保育観と合うかどうかが大切です。
気になる園があれば、見学などで実際の様子を確かめたうえで、転職先の選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。