「幼稚園教諭の免許には一種と二種があるけれど、実際に何が違うの?」。そんな疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
結論からいうと、日々の保育・担任業務に差はありません。ただし、給料・園長への就任資格・取得にかかる年数の3点には明確な違いがあります。
この記事では、公的データをもとにその違いを整理し、二種から一種への切り替え方法や保育士向けの特例制度まで解説します。
- 幼稚園教諭免許の一種・二種の制度的な違い(給料・園長要件・取得年数)について
- 二種から一種への切り替え方法と年収シミュレーションについて
- 保育士が活用できる幼保特例制度の最新情報(2030年3月末期限)について
1. 幼稚園教諭免許の一種・二種・専修の違いを一覧で比較

幼稚園教諭の普通免許状は、専修・一種・二種の3種類です。
まず全体像を表で確認しましょう。
| 比較項目 | 専修免許状 | 一種免許状 | 二種免許状 |
|---|---|---|---|
| 基礎資格(学位) | 修士(大学院修了) | 学士(4年制大学卒) | 短期大学士・準学士(短大・専門卒) |
| 修業年限の目安 | 6年(大学4年+院2年) | 4年 | 2年(専門3年課程もあり) |
| 最低修得単位数 | 学士分+修士30単位以上 | 124単位以上 | 62単位以上 |
| 担任・日常の指導業務 | 制限なし | 制限なし | 制限なし |
| 園長就任 | 可 | 可 | 原則不可(一種への上進が必要) |
| 初任給水準 | 最も高い(院卒テーブル) | 高い(大卒テーブル) | やや低い(短大卒テーブル) |
| 現場の保有割合 | 約0.5% | 約27% | 約68%(現場の多数派) |
参考:文部科学省「教員免許制度の概要」、文部科学省「学校教員統計調査」をもとに作成
現場で働く幼稚園教諭の約68%が二種免許保持者です。
二種免許は現場の主流であり、日々の保育業務において不利になることはありません。
2. 幼稚園教諭免許の一種・二種の違い①「取得までの年数と単位数」

一種と二種でまず異なるのは、取得にかかる修業年限と修得単位数です。
一種免許状:4年制大学で124単位以上
幼稚園教諭養成課程を設置した4年制大学に進学し、所定の科目を含む124単位以上を修得して卒業する必要があります。
卒業と同時に「学士」の学位が得られます。
二種免許状:短大・専門学校で62単位以上(2年間)
短期大学や専門学校の2年制課程(一部3年制あり)で62単位以上を修得して取得できます。
一種より2年早く現場に出られるため、「早く働き始めたい」「学費を抑えたい」方に選ばれやすい選択肢です。
二種免許取得者は2年早く就職するため、22歳時点では2年分の実務経験・昇給がある分、新卒の一種取得者より月収が上回るケースもあります。
3. 幼稚園教諭免許の一種・二種の違い②「給料・初任給の差」

一種(大卒)と二種(短大卒)では適用される給与テーブルが異なるため、採用時の初任給に差が生じます。
公立幼稚園(特別区)の初任給比較
| 免許の種類 | 採用区分 | 初任給の目安(月額) |
|---|---|---|
| 一種免許状 | 大学卒基準 | 約244,400円 |
| 二種免許状 | 短大卒基準 | 約222,900円 |
初任給の差は月額約21,500円(年間約26万円)です。
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」でも、全産業の大卒と短大卒の格差は月額約25,000〜30,000円とされており、幼稚園教諭もこの傾向に沿っています。
長期的な収入は経験年数・役職で変わる
初任給の差はあるものの、勤続年数や役職によって長期的な収入は大きく変わります。
早期就職した二種取得者が昇給・キャリアアップを重ねることで、一種取得者に追いつく・追い越すケースも十分あります。
4. 幼稚園教諭免許の一種・二種の違い③「園長(管理職)への就任要件」

一種と二種で最も大きな実務上の差が、園長に就任できるかどうかです。
将来のキャリアプランを考えるうえで必ず押さえておきましょう。
学校教育法が定める園長の就任要件
学校教育法の規定により、幼稚園の園長に就任するには原則として一種または専修免許状が必要です。
二種免許状のみでは園長になることはできません。
担任・主任としての業務に差はない
クラス担任、保育カリキュラムの実践、行事運営、保護者対応——日常の教育指導業務において一種と二種の差はありません。
違いが生じるのは「園長への就任資格」のみです。
将来、園長を目指したいなら一種への切り替えを
いつかリーダーとして園を支えたいと考えるなら、早めに一種への切り替えを視野に入れておくことが大切です。
具体的な方法は次のセクションで解説します。
5. 一種・二種どちらが得?22歳〜32歳の年収シミュレーション比較
初任給に差があるのはわかったけれど、長い目で見てどちらが有利なのか?
二種取得者は2年早く就職できる分、年齢ごとの月収推移はどう変わるのか表で確認しましょう。
前提条件
- 二種取得者:20歳で就職(短大2年卒業)
- 一種取得者:22歳で就職(大学4年卒業)
- 初任給:二種 約222,900円/一種 約244,400円(特別区公立幼稚園の例)
- 昇給:年間約3,000〜5,000円と仮定(標準的な公立の昇給幅)
| 年齢 | 二種取得者の月収目安 | 一種取得者の月収目安 | 差額(一種−二種) | 二種の就労年数 |
|---|---|---|---|---|
| 20歳 | 約222,900円(1年目) | —(在学中) | — | 1年目 |
| 22歳 | 約229,000円(3年目) | 約244,400円(1年目) | ▲約15,400円 | 3年目 |
| 27歳 | 約249,000円(8年目) | 約259,000円(6年目) | ▲約10,000円 | 8年目 |
| 32歳 | 約270,000円(13年目) | 約274,000円(11年目) | ▲約4,000円 | 13年目 |
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」をもとに作成した目安値です。
園の種別・地域・法人によって実際の数値は異なります。
シミュレーションからわかること
- 22歳時点では一種が月収で約15,400円上回るが、二種取得者には2年分の実務経験・昇給実績がある。
月収の差は実務年数の差でもある点に注目 - 30代に入るにつれて月収差は縮小し、役職登用が収入を左右するようになる
- 二種から一種に切り替えてキャリアアップすれば、園長手当の加算により一種取得者と同等以上の年収も狙える
6. 幼稚園教諭免許の一種・二種の切り替え方法|学歴別ルートを解説
二種から一種への切り替えは、大学に通い直さなくても可能です。
教育職員免許法に基づく「上進制度」を活用することで、働きながら取得できます。
4年制大学を卒業していない場合(短大・専門卒)
幼稚園教諭として5年以上勤務したうえで、免許法認定講習や通信制大学で所定の単位を修得することで一種へ切り替えられます。
実務経験が長いほど必要な単位数は少なくなります。
| 実務経験年数 | 必要な修得単位数の目安 |
|---|---|
| 5年以上 | 45単位程度 |
| 10年以上 | 20単位程度 |
参考:文部科学省「教員免許制度の概要」をもとに作成
4年制大学をすでに卒業している場合(学士保有者)
修得済みの単位が認められる場合があり、必要な単位数が少なくなるケースがあります。
在学歴や単位の内容によって異なるため、検討している認定機関に問い合わせるとよいでしょう。
切り替えに利用できる主な学習方法
- 免許法認定講習
:各都道府県の教育委員会が実施。夜間・週末開催が多く、働きながら受講しやすい - 通信制大学・短大
:自分のペースで学習できる。一種対応の課程を有する大学が全国に複数ある
7. 保育士なら最短8単位で幼稚園教諭免許を取得!幼保特例制度(2030年3月末まで)

保育士として働いている方には、さらに有利な取得ルートとして「幼保特例制度」があります。
現場の約68%を占める二種免許保持者にとっても、この制度は一種へのステップアップを後押しする存在です。
通常の上進制度より大幅に少ない単位数で幼稚園教諭免許を取得できますが、利用できる期限は2030年3月末まで。活用を検討している方は早めに動き始めることが大切です。
幼保特例制度とは
認定こども園の普及に伴い、ダブルライセンス取得を促進するために設けられた特例措置です。
最短6〜8単位の履修で幼稚園教諭免許状が取得できます。
特例制度の利用要件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 保有資格 | 保育士資格を保有していること |
| 実務経験 | 3年以上かつ4,320時間以上の保育士実務 |
| 必要単位数 | 8単位(認定こども園で2年以上の勤務実績がある場合は6単位) |
| 期限 | 2030年(令和11年)3月31日まで |
2024年の法改正で期限が延長されました!
特例制度の期限は2024年の法改正により2030年3月末まで延長されています。
認定こども園への転職・キャリアアップを考えている方はぜひ活用を検討してください。
認定こども園で働くには両方の免許・資格が必要
認定こども園(特に幼保連携型)で働く場合、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方が原則必要です。
幼保特例制度を活用してダブルライセンスを取得しておくことが、転職活動でも強みになります。
| 認定こども園の種類 | 必要な資格・免許 |
|---|---|
| 幼保連携型(最も多い形態) | 保育士資格+幼稚園教諭免許の両方が必要 |
| 幼稚園型 | 幼稚園教諭免許(保育士資格があれば尚可) |
| 保育所型 | 保育士資格(幼稚園教諭免許があれば尚可) |
| 地方裁量型 | どちらか一方でも可(自治体の方針による) |
参考:文部科学省「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例」
8. 幼稚園教諭免許の一種・二種、どちらを選ぶべきか

自分の状況と照らし合わせながら選べるよう、それぞれに向いている方の特徴を整理します。
二種免許を選ぶべき方
- 早く現場に出て実務経験を積みたい
- 学費や学習期間をできるだけ抑えたい
- 担任として子どもと向き合う仕事に集中したい
- 将来、働きながら一種への切り替えを目指す予定がある
一種免許を選ぶべき方
- 将来の選択肢を広げたい(園長・認定こども園・小学校教諭など)
- 初任給・給与水準を最初から高く確保したい
- 大学4年間で保育士資格や小学校教諭免許などのダブル取得を目指したい
現職の幼稚園教諭の約68%が二種免許保持者です(文部科学省「学校教員統計調査」)。
二種で就職したあとに実務経験を積みながら一種へ切り替えるルートも広く活用されています。
今の自分の状況と将来の目標に合わせて判断しましょう。
よくある質問
-
幼稚園教諭免許に更新は必要ですか?
-
2022年(令和4年)7月に教員免許更新制が廃止され、現在は更新手続きが不要になっています。
同日以降に授与された免許状は有効期限のない生涯有効なものとなり、すでに有効だった免許状も手続きなしで無期限有効となりました。
詳細は都道府県の教育委員会にご確認ください。
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二種免許のまま主任・主幹教諭にはなれますか?
-
主任・主幹教諭への就任については、法令上、一種免許が必須という規定はありません。
ただし、園長への就任には一種または専修免許が必要です。
実際の運用は園の方針や法人規定によって異なるため、在籍している園または転職先の採用担当者に直接確認することをおすすめします。
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専門学校の3年制課程で取得した二種免許と短大の二種免許に違いはありますか?
-
免許状の種類としてはどちらも「幼稚園教諭二種免許状」であり、法的な効力に違いはありません。
修業年限が2年か3年かで卒業資格(短期大学士など)が異なる場合がありますが、取得できる免許状の区分は同じです。
ただし、一種への上進に必要な単位数の計算などは在籍校によって異なる場合があるため、詳細は都道府県の教育委員会にお問い合わせください。
まとめ:幼稚園教諭免許の一種・二種の違いを知って自分らしく働く

幼稚園教諭免許の一種・二種の大きな違いは、取得にかかる年数・初任給水準・園長就任資格の3点です。
一方で、日々の担任業務や保育実践においては、どちらの免許でも差は生じません。現職教員の約68%が二種免許保持者であることからも、二種免許は現場の主流として十分に機能しています。
二種で就職しながら働くなかで上進制度や幼保特例制度を活用し、一種へステップアップするルートも多くの方が選んでいます。将来の目標に合わせて、自分らしいキャリアを描いてみてください。