「体力的にしんどくなってきた」「若い先生ばかりの職場で少し浮いている気がする」。
40代を迎え、保育士を辞めたいと感じる場面が増えている方もいらっしゃるかもしれません。長く続けてきた仕事だからこそ、辞める決断にはためらいもあるはずです。
この記事では、40代の保育士が辞めたいと感じる理由を公的データとあわせて整理し、辞める前に確認したいことや、無理のない次の一歩までをまとめました。
- 40代の保育士が「辞めたい」と感じる主な理由と、その背景にある現場の実態について
- 感情的に辞めてしまう前に、いちど立ち止まって確認したい点について
- 保育士資格を活かせる転職先や、円満に退職を進める手順について
1. 40代で保育士を辞めたいと感じる主な理由

40代の保育士が辞めたいと感じる背景には、この年代ならではの事情があります。まずは代表的な理由を整理します。
体力の変化で仕事がつらくなる
抱っこや床での遊び、行事の準備など、保育の仕事は体を使う場面が多くあります。
40代になると、若いころと同じペースで動くのに疲れを感じやすく、腰痛や肩の痛み、疲れの抜けにくさに悩む先生も少なくありません。
中間管理職としての板挟みがつらい
経験を重ねた40代は、主任やリーダーなど、園長と若手のあいだをつなぐ立場を任されることが増えます。
園の方針を後輩に伝えつつ、現場の声も受け止める役割は、やりがいがある一方で精神的な負担も大きくなりがちです。
若い世代が多い職場で気疲れする
厚生労働省の資料によると、保育施設で働く職員は30代以下が約6割を占め、40代は約2割にとどまります。
周囲が20代・30代中心の職場では、世代のちがいから会話や価値観にギャップを感じ、居心地の悪さにつながることがあります。
昇給が頭打ちで将来のお金が不安
長く勤めても給与が思うように上がらず、将来への不安を抱くケースもあります。
子どもの教育費や自身の老後を考える時期と重なり、収入面の悩みが辞めたい気持ちを後押しすることもあります。
家庭との両立が難しくなる
自身の子育てに加え、親の介護が重なる「ダブルケア」の時期を迎える人もいます。
フルタイムの正職員として働き続けることが、生活のなかで負担に感じられるようになります。
2. 「保育士を辞めたい」40代の悩みは甘えではない|データで見る実態
長く勤めてきた職場を離れることに、罪悪感を覚える人は多いものです。
しかし、辞めたいと感じるのは特別なことではありません。公的な調査からも、その背景が見えてきます。
辞めたい理由は公的調査でも上位に並ぶ
東京都が有資格者を対象に実施した実態調査では、過去に保育士を辞めた人の退職理由として「職場の人間関係」「仕事量の多さ」「給料の安さ」などが上位に挙がっています。
多くの保育士が同じ悩みを抱えていることがわかります。
給与は全産業の平均を下回る傾向がある
厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査によると、保育士の平均年収は約397万円です。
国税庁の調査による給与所得者全体の平均(約460万円)と比べると、低い水準にあることがわかります。経験を積んでも差が縮まりにくいことが、40代の収入面の不安につながっています。
参考:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」/国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」
3. 保育士を辞めたい40代が辞める前に確認したいこと
疲れがたまっているときほど、勢いで決めてしまいがちです。後悔のない選択をするために、いちど立ち止まって整理してみましょう。
「保育士」が嫌なのか「今の園」が嫌なのかを分ける
辞めたい気持ちの中身を分けて考えることが大切です。
保育の仕事そのものがつらいのか、それとも今の園の人間関係や働き方が合わないのか。原因がはっきりすると、園内で相談すべきか、環境を変えるべきかが見えてきます。
働き方を変える選択肢も検討する
正職員を続けることが負担なら、パートや時短勤務、クラス担任を持たないフリー保育士など、働き方を変える方法もあります。今の園で相談できれば、辞めずに負担を減らせる可能性があります。
東京都の実態調査では、保育士を辞めた理由として「健康上の理由(体力を含む)」が2割ほどを占める一方、再び働くとしたら重視する条件としては「勤務日数」「通勤時間」「勤務時間」といった働き方に関する項目が上位に並びます。
体力や負担の大きさが退職につながりやすい反面、多くの人が求めているのは「保育の仕事そのものを離れること」ではなく「働き方を変えること」だと読み取れます。
まずは働き方の見直しから検討する価値があります。
休職制度や傷病手当金を活用する
心身の不調が続くときは、退職の前に休職という選択肢もあります。
健康保険に加入していれば、条件を満たすことで傷病手当金を受け取れる場合があります。まずは体を休めることを優先し、落ち着いてから判断する方法もあります。
辞めたい気持ちを整理するセルフチェック
今の状況に当てはまるものがないか、確認してみましょう。
職場・人間関係のサイン
- 園長や同僚と保育の方針が合わず、相談もしにくい
- 若い世代が多く、職場で気を遣う場面が多い
- 主任やリーダーの立場で板挟みになり、負担が大きい
心と体のサイン
- 朝、園に向かうときに気持ちが重い
- 休日も仕事が頭から離れず、休んだ気がしない
- 腰痛や慢性的な疲れなど、体に不調が出ている
心と体のサインが多く当てはまる場合は、無理を続けず、休むことや環境を変えることを優先して考えます。
4. 保育士を辞めたい40代の転職事情|需要と選択肢

「40代で転職は難しいのでは」と不安に思う人もいますが、保育の現場は人材を強く求めています。選択肢を知っておくと、次の一歩が考えやすくなります。
40代でも保育士の求人需要は高い
こども家庭庁の資料によると、保育士の有効求人倍率は全職種の平均を大きく上回る水準が続いています。人手不足の現場では、経験のある40代は即戦力として歓迎されやすく、年齢だけで不利になるとは限りません。
ちょっと視点を変えてみましょう
保育施設の職員は30代以下が約6割を占め、40代は少数派になりやすい一方、労働市場全体では経験者としての需要が突出しています。
つまり、園の中では「浮いている」と感じる立場が、転職市場では「即戦力としての希少価値」に反転するのです。
さらに、給与水準は全体平均を下回るものの人材需要は高いという需給ギャップは、賞与や手当、処遇改善の状況を比較することで、同じ保育士でもより良い条件を選びやすい余地があることを示しています。
保育士資格を活かせる保育園以外の職場
体力的な負担を抑えたい場合は、保育園以外で資格を活かす道もあります。40代が気になりやすい体力の負担を中心に、主な職場を比べてみましょう。

いずれも保育士資格や現場経験を活かせるため、これまでのキャリアを無駄にせず働き方を変えられます。
異業種に挑戦する場合のポイント
保育で培った気配りや対応力は、事務職や接客など他の仕事でも活かせます。未経験の分野に移るときは、求める条件に優先順位をつけて選ぶと後悔を防ぎやすくなります。
5. 保育士を辞めたい40代のための円満退職の進め方
長く勤めた園だからこそ、円満に辞めたいものです。手順を知っておくと、トラブルを避けやすくなります。
退職を伝えるタイミング
民法第627条第1項では、期間の定めのない雇用契約は申し入れから2週間で終了すると定められています。
ただし保育の現場では、引き継ぎやクラス編成を考え、1〜3か月前に伝えるのが一般的です。子どもや園への影響を抑えやすい年度末(3月末)は、円満に進めやすいタイミングです。
年度途中で辞めたいときの考え方
体調の悪化などで、年度末まで待てないこともあります。年度途中の退職も法律上は可能です。
限界を感じるときは、無理に続けず早めに園長へ相談し、引き継ぎに協力する姿勢を示せば、途中でも角が立ちにくくなります。
健康を守ることを最優先に判断します。
引き止めにあったときの対処法
人手不足やベテランゆえに、強く引き止められることもあります。話し合いで解決が難しい場合は、労働基準監督署などの公的な窓口に相談する方法もあります。
退職後に使える公的制度
退職後の生活が不安なときは、失業保険(基本手当)を確認しておきます。
自己都合の退職でも、条件を満たせば給付を受けられます。ただし自己都合の場合は原則として1か月の給付制限期間があるため、手続きは早めに行うと安心です。手続きはハローワークで行います。
6.よくある質問
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ブランクがあっても保育士として復帰できますか
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可能です。保育士は人手不足が続き、経験者は歓迎されやすい状況です。
まずはパートや短時間勤務から始め、最新の保育に慣れながら復帰する方法もあります。
自治体によっては潜在保育士向けの復職支援や研修が用意されているため、お住まいの地域の窓口で確認してみてください。
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退職するとき、有給休暇は消化できますか
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退職時に残っている年次有給休暇は、原則として取得できます。
取得する時季は園と調整することになりますが、引き継ぎのスケジュールとあわせて早めに相談するとスムーズです。
付与日数や取り扱いは就業規則によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
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退職を伝えたあとに賞与(ボーナス)は受け取れますか
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賞与を受け取れるかは、支給日時点で在籍しているかなど、園の就業規則や賃金規程によって変わります。
支給時期の直前に退職する場合は対象外となることもあるため、退職時期を検討する際は、就業規則の賞与に関する規定を確認しておくとよいでしょう。
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転職活動は在職中と退職後のどちらで進めるとよいですか
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どちらにも利点があります。在職中は収入を保ちながら進められる一方、面接の日程調整が難しくなりがちです。
退職後は活動に集中できますが、収入が途切れる点に注意が必要です。生活資金の余裕や体調とあわせて、無理のない進め方を選ぶとよいでしょう。
7.まとめ|40代で保育士を辞めたい気持ちと向き合うために

40代で保育士を辞めたいと感じるのは、体力の変化や立場の重さ、収入や家庭の事情など、この年代ならではの理由が重なるためです。
その気持ちは甘えではなく、真剣に仕事へ向き合ってきた証でもあります。勢いで決める前に、辞めたい理由を整理し、働き方の変更や休職、資格を活かせる転職先まで選択肢を広げて考えてみましょう。
これまで子どもと向き合ってきた経験は、どの道を選んでも力になります。