10月は、夏の疲れが抜け、実りの秋を五感いっぱいに味わえる月です。
ハロウィン・芋掘り・秋の遠足……行事を通じて「秋ってこんなに楽しい!」という記憶が、子どもたちの心に深く刻まれます。
一方で、朝晩と日中の気温差が大きくなり、体調をくずしやすい時期でもあります。衣服の調整や生活リズムの見直しへの配慮も欠かせません。
子どもの健康を守りながら、秋の体験を思いきり楽しんでもらうことが、10月の保育の大きなテーマです。
この記事では、10月の保育行事を一覧で整理しつつ、それぞれのねらいや現場での取り入れ方を解説します。
10月はどんな保育行事がある?

10月の主な保育行事・テーマ
このように10月は、秋の実りと自然の変化を全身で感じながら、友だちや季節との関わりを深める月です。
行事を点として捉えるのではなく、日々の保育とつなげながら積み重ねることで、行事の意味がより深まります。
朝晩の冷え込みや空気の乾燥が進むこの時期の体調変化にも目を向けながら、子どもたちと一緒に秋の深まりを感じることを大切にしましょう。
ハロウィン|保育園での取り入れ方とねらい

ハロウィンとは?子どもへの伝え方
ハロウィンは、秋の収穫を祝い、いたずら好きの妖精や悪霊を追い払うとされる、ヨーロッパ発祥の行事です。仮装をしたり「トリック・オア・トリート」と言ってお菓子をもらったりする習慣があります。
保育園では宗教的な意味合いよりも「みんなで仮装を楽しみ、秋のにぎやかさを味わう遊びの日」として伝えるのが一般的です。
「かぼちゃのお化けと一緒に、変身を楽しむ日だよ」という言葉だけで十分伝わります。
保育園でハロウィンを取り扱う意味
ハロウィンのねらいは、いつもと違う自分に変身するワクワク感を通じて、想像力や表現する喜びを育むことです。
「なりたいものになってみる」という体験そのものが、この行事の本質です。
0〜5歳児への伝え方のポイント
年齢によって、楽しみ方は異なります。
「上手に仮装すること」より、「変身するって楽しい」というワクワクした気持ちを先に育てることがポイントです。
仮装・お菓子への配慮
家庭によって用意できる衣装はさまざまです。凝った仮装を前提にせず、園にある素材で全員が参加できる形にしておくと安心です。
お菓子を配る場合は、アレルギーへの配慮を最優先にしましょう。食べ物にこだわらず、手作りのメダルやスタンプなどで代替する園も増えています。
壁面・製作とのつなげ方
かぼちゃ・おばけ・こうもり・魔女の帽子など、ハロウィンのモチーフは壁面製作に取り入れやすいものばかりです。
子どもが作った仮装グッズを当日に身につけたり、「みんなで作ったおばけ」として保育室を飾ったりすることで、「自分が作ったもので行事を楽しむ」体験が生まれます。
保護者への説明文例
「今月はハロウィンを行います。子どもたちが仮装や製作を楽しみながら、秋のにぎやかな雰囲気を味わいます。
凝った衣装のご準備は必要ありません。園にある素材で、全員が楽しめる形で進めていきます。」
芋掘り・秋の収穫体験|保育園での取り入れ方とねらい

保育園の芋掘りはどう行う?
芋掘りは、土に触れ、自分の手で食べ物を収穫する喜びを味わえる、秋ならではの体験活動です。
畑まで出かける園もあれば、園庭やプランターで育てたさつまいもを掘る園もあります。規模にかかわらず、「自分で掘り出す」達成感を大切にすることがポイントです。
年齢別の関わり方と発達への効果
- 0〜1歳児
土の感触・さつまいもの重さや形を、保育士と一緒に手で感じる - 2〜3歳児
「うんとこしょ!」と力を込めて引っ張り、掘り出す達成感を味わう - 4〜5歳児
つるや土の中の様子を観察し、「どうやって育つの?」と収穫までの過程に興味を広げる
芋掘りのねらいは「たくさん掘ること」ではありません。
「食べ物が土から採れる」ことに気づき、自然の恵みに感謝する心を育てることが本質です。
安全に楽しむための配慮点
収穫物を活かす製作・食育とのつなげ方
掘ったさつまいもを使えば、体験が食育や製作へと自然につながります。
焼き芋・スイートポテトなどの調理体験や、「掘った芋をみんなで味わう」体験は、収穫の喜びをより深めます。
芋の形を絵に描いたり、スタンプ遊びに使ったりする表現活動もおすすめです。
保護者への説明文例
「今日はみんなで芋掘りを楽しみました。『大きいのが採れた!』『土がふかふか!』と歓声が上がりました。
後日、収穫したさつまいもを使った調理も予定しています。土に触れる貴重な体験となりました。」
秋の遠足・自然観察(どんぐり・落ち葉・紅葉)|10月の季節行事のねらい

保育園での秋の遠足・自然観察はどう行う?
どんぐり・まつぼっくり・色づいた落ち葉・紅葉……10月は秋の深まりを自然の中でリアルに感じられる季節です。
「特別な遠足」として計画することもできますが、園庭や近隣の公園でも十分に秋の深まりを体感することができます。
年齢別の関わり方と発達への効果
- 0〜1歳児
落ち葉のカサカサした感触・ひんやりした風・木の実の形を体で感じる - 2〜3歳児
「これどんぐり!」「葉っぱ赤いね!」と保育士と発見を共有する - 4〜5歳児
葉の色の違いを比べたり、図鑑で調べたりしながら「なぜ色が変わるの?」を探究する
自然体験のねらいは「知識を覚えること」ではありません。
「季節が深まっていく」ことに気づく感性を育てることが、幼少期の自然体験の本質です。
安全に楽しむための配慮点
製作・壁面とのつなげ方
集めてきた木の実・落ち葉・紅葉をテーマに製作へつなげると、体験と表現が結びつきます。
どんぐりのやじろべえ・落ち葉のスタンプ・紅葉のコラージュなど、「見つけてきたものを作る・飾る」喜びが自然体験をより深めます。
連絡帳・おたよりに使える説明文
「今日は散歩で真っ赤に色づいた葉っぱをたくさん見つけました。『これきれい!』『どうして赤いの?』と興味津々の子どもたち。
明日は集めた落ち葉を使って製作を楽しもうと思います。」
十三夜(後の月)|保育園での取り入れ方とねらい

十三夜とは?子どもへの伝え方
十三夜(後の月)は、十五夜に続いて秋の月を愛でる、日本の伝統行事です。栗や豆をお供えすることから「栗名月」「豆名月」とも呼ばれます。
保育園では宗教的な意味合いよりも、「秋の月をもう一度みんなで眺める、日本の美しい習慣」として伝えるのが一般的です。
「きれいなお月さまを、もう一回いっしょに見る日だよ」という言葉で十分伝わります。
保育園で十三夜を取り扱う意味
十三夜のねらいは、日本の季節の文化・自然の美しさに感性で触れることです。
「お月さまってきれいだな」という感動が、子どもの自然への興味を広げます。
0〜5歳児への伝え方のポイント
- 乳児
まるい形・黄色・光といった視覚的な要素を楽しむ製作や飾りつけを中心に - 2〜3歳児
「お月さまに栗をお供えするんだよ」という習慣を絵本や飾りで楽しむ - 4〜5歳児
「十五夜と十三夜はどう違うの?」と一緒に考えたり、月の形の変化に気づいたりする
「知識として覚えること」より、「月を見て綺麗だなと感じる経験」そのものを大切にすることがポイントです。
壁面・製作とのつなげ方
丸いお月さま・うさぎ・栗・すすきなど、十三夜のモチーフは壁面製作に取り入れやすいものばかりです。
子どもが作った栗やお月さまの製作を飾ったり、「みんなで作った秋のお月見飾り」として保育室を彩ったりすることで、行事への参加感が生まれます。
保護者への説明文例
「今月は十三夜に合わせて、日本の秋の習慣『お月見』についてお話ししました。
ご家庭でも晴れた夜に、お子さんと一緒にお月さまを見上げてみてください。」
衣替え・生活リズムの調整|10月の保健行事

なぜ10月に生活リズムの調整が必要なのか
10月は、朝晩と日中の気温差が一年でもっとも大きくなりやすい時期です。
夏の疲れが残る中で気候が急に変わるため、体調をくずしやすく、風邪が広がりやすい月でもあります。
「暑い」「寒い」が入り混じるこの時期、衣服の調整と生活リズムの見直しを丁寧に行うことが特に重要です。
年齢別の関わり方
- 乳児
室温・衣服・寝具をこまめに調整する。体調の変化(鼻水・機嫌)を見逃さない - 幼児
「暑くなったら1枚脱ごう」「寒かったら着ようね」と、自分で気づく習慣を育てる - 5歳児
「気温に合わせて服を選ぶ」ことを、自分ごととして考えるきっかけを届ける
「ちゃんと着なさい」という指示より、「自分で気温に気づいて調整する」感覚を育てることが、子どもの主体性を伸ばします。
気温差・乾燥への安全管理の工夫
保護者への説明文例
「10月に入り、朝晩と日中の気温差が大きくなってきました。体調をくずしやすい時期です。
脱ぎ着しやすい服装でのご登園にご協力ください。体調の変化を感じた際はお気軽にご連絡ください。」
避難訓練(10月)|火災を想定した安全教育
10月の避難訓練はどう行う?
空気が乾燥し始める秋は、火災が起こりやすくなる季節です。この時期に合わせて、火災を想定した避難訓練を実施する園が多くあります。
暖房器具を使い始める前に、「火事のときはどこに逃げるか」「煙を吸わないように口を覆う」といった動きを、年齢に合わせて体験しておきましょう。
消防署と連携した訓練や消火器の使い方の確認を取り入れる園もあります。
年齢別の関わり方
- 乳児
保育士に抱っこされながら、素早く安全な場所へ移動する動きを繰り返す - 幼児
「おかしも(押さない・かけない・しゃべらない・戻らない)」の約束を自分から言えるようにする - 5歳児
「なぜ煙が危ないのか」を考え、火災の避難の意味を絵本や話し合いで知る
完璧な訓練よりも、「先生の声を聞いて、一緒に動ける」という経験を丁寧に積み重ねることが大切です。
保護者への説明文例
「今月は火災を想定した避難訓練を行いました。煙を吸わないように口を覆って避難する練習をしました。
ご家庭でも、火事のときの約束や避難場所について、ぜひ話し合ってみてください。」
10月の保育行事と「秋の子どもの姿」

10月に起きやすい子どもの姿
これらはすべて、子どもが季節の変化と行事への期待に正直に反応しているサインです。問題として捉えず、体と気持ちの両方を丁寧に見守ることが保育士の腕の見せ所です。
行事を「楽しい」にする視点
芋掘りやハロウィンの準備は、繰り返しになりやすい分、「できるようになった」という小さな成長を見つけて言葉にすることが子どもの意欲を保つ鍵です。
「上手だね」より「昨日より力が入ってたね」「最後まで頑張ったね」という具体的な声かけが効果的です。
保育行事を生活リズムにつなげる視点
行事は「特別な日」ではなく、「ここにいると楽しい」という記憶を積み重ねる機会です。
ハロウィン・芋掘り・秋の遠足・十三夜——どの行事も、秋という季節と生活と結びついた「生きた学び」の一場面として位置づけましょう。
年齢別|10月の保育行事の関わり方
0歳児:感触・色・涼しさで秋を感じる
行事への参加よりも、落ち葉のカサカサした感触・色づいた葉の鮮やかさ・ひんやりした秋の空気といった感覚的な体験がこの時期の中心です。
特定の保育士との信頼関係を基盤に、安心した環境で秋の季節に触れられるよう配慮しましょう。
1・2歳児:試す・驚く・繰り返す
好奇心と慎重さが混在する年齢です。芋掘りや秋の製作では、「やってみたら楽しかった」という経験を意識的に積み重ねることがポイントです。
「もう一回!」という繰り返しの要求を大切に受け止めましょう。
3〜5歳児:理由を知り、表現し、友だちと楽しむ
「なぜ葉っぱが赤くなるの?」「さつまいもってどうやって育つの?」という問いが生まれてくる年齢です。
子どもの「なぜ?」を受け止め、一緒に絵本で調べたり観察を続けたりする関わりが、知的好奇心を育てます。ハロウィンや芋掘りも、意味を理解した上で友だちと力を合わせて楽しめるようになります。
10月の保育行事でよくある質問
ハロウィンの仮装が用意できない家庭への配慮は?
凝った仮装を前提にせず、園にある素材で全員が参加できる形にしておきましょう。
帽子やマントを園で用意したり、みんなで製作した仮装グッズを身につけたりすることで、どの子も同じように「変身」を楽しめる環境を整えることが大切です。
芋掘りが天候で中止になった場合は?
無理に決行せず、絵本や製作で「芋掘りの雰囲気」を楽しむ関わりに切り替えましょう。
さつまいもの絵本を読んだり、土の中で育つ様子を製作で表現したりすることで、体験を補うことができます。日を改めて実施する方法も検討しましょう。
遠足を怖がる・行き渋る子への対応は?
まず「不安な気持ち」を受け止めることが先決です。
無理に急がせず、信頼できる保育士のそばで安心できる状態をつくりながら、「行ってみたら楽しかった」という体験を少しずつ積み重ねることが大切です。
十三夜当日が曇りや雨だった場合は?
「今夜は雲の向こうにお月さまが隠れているんだよ」と伝えるのも一つの関わり方です。
月が見えなくても、「月を思う気持ち」そのものが文化体験になります。絵本や製作で十分に補えます。
行事が負担にならない工夫は?
準備を簡素化し、子どもの姿を最優先に考えましょう。
「やること」より「子どもがどう感じるか」を軸にすると、行事の見直しがしやすくなります。
10月は運動会の余韻と複数の行事が重なるため、チームで役割を分担し、無理のない計画を立てることが特に重要です。
まとめ|10月の保育行事は”実りの秋を五感で味わう時間”

10月の保育行事は、子どもたちが深まる秋の中に「楽しさ」「発見」「友だちとのつながり」を見つけるための、大切な積み重ねです。
行事の準備に追われる中でも、芋掘りで「採れた!」と目を輝かせる瞬間、ハロウィンの仮装を誇らしげに見せる姿、色づいた落ち葉を大切そうに集める表情を見逃さない余裕を持てるよう、チームで分担しながら無理のない計画を立てることが大切です。
秋を「ただ涼しくなる季節」ではなく、「この季節だからこそできること」に変えていく——その視点が、子どもたちの豊かな10月をつくります。