「毎日がんばっているのに、もう限界かもしれない」「安定した公務員を辞めるのは、やっぱりもったいないのかな」。
公立保育士を辞めたいけど、どうしていいかわからない。そんな気持ちを一人で抱えていませんか。
公立保育士は、私立より給料や休暇に恵まれていると言われる一方、定期的な異動や自治体のルールなど、公立ならではの悩みを抱えやすい働き方でもあります。
この記事では、公立保育士が辞めたいと感じる理由を公的データで整理し、辞める前に知りたいデメリットや現職での対処法、転職・退職の進め方までをまとめました。これからの働き方を考えるヒントにしてください。
- 公立保育士が「辞めたい」と感じる、公立ならではの理由について
- 公的データで見る離職率と、辞める前に知りたいデメリットについて
- 現職での対処法から、転職・退職手続きまでの進め方について
1. 公立保育士を辞めたいと感じる主な理由|公立ならではの背景

公立保育士の悩みには、私立とは違う公立ならではの事情があります。
東京都の調査では、保育士が仕事を辞めた理由の第1位は「職場の人間関係」(31.5%)でした。ここでは、辞めたいと感じやすい代表的な理由を整理します。
出典:東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査結果(報告書)」
定期的な人事異動で人間関係がリセットされる
公立保育士は、3〜4年ほどの周期で他の園へ異動するのが一般的です。
そのたびに築いた人間関係がリセットされ、新しい環境に慣れ直す負担が繰り返されます。これが公立ならではの疲れやすさにつながります。
園長や上司の交代で保育方針が変わる
異動は自分だけでなく、園長や主任にも起こります。
トップが変わると保育の進め方や園の雰囲気も変わり、「慣れたのに、またやり直し」と感じてしまう先生も少なくありません。
ベテラン保育士との関係や年功序列になじめない
公立は勤続年数の長い先生が多く、経験年数14年以上の割合は公立42.7%・私立23.6%と、2倍近い差があります。
長く働き続けやすい一方で、若手の意見が通りにくい世代間ギャップも生まれやすくなります。
公立の人間関係は「年功序列で固定化しやすい面」と「異動で定期的にリセットされる面」が同居しているのが特徴で、異動は積み上げた関係を手放す負担にも、関係をやり直すきっかけにもなります。
保護者から公務員としての対応を求められやすい
公立保育園は行政サービスの一つと受け止められるため、保護者から「公務員なのだから」と、より丁寧で厳格な対応を求められることがあります。
その期待に応え続けるプレッシャーが、心の負担になるケースです。
自治体のルールで自由な保育がしにくい
公立は自治体の方針に沿って運営されるため、行事や保育内容に決まりが多く、自分らしい保育を試しにくいと感じる先生もいます。
「もっと個性を活かした保育がしたい」という思いが、辞めたい気持ちにつながります。
2. データで見る公立保育士の離職率|辞めたいと感じる人の実態

「自分だけがつらいのかな」と不安になったときは、まず客観的なデータを見てみましょう。
公立保育士の離職率は、実は低い水準です。
公立5.9%・私立10.7%|公立保育士の離職率は低い傾向
厚生労働省の資料によると、常勤保育士の離職率は公立が約5.9%、私立が約10.7%です。
保育士を含む医療・福祉分野全体(13.8%・令和6年)と比べても、公立は低い水準にあり、数字の上では定着しやすい職場といえます。
出典:厚生労働省「保育士の現状と主な取組」/厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概要」

数字が低くても「辞めたい」と感じるのは自然なこと
離職率が低いのは、公務員としての安定や休暇の取りやすさが背景にあります。
ただし、離職率が低い職場は周りが辞めないぶん相談しにくく、悩みを一人で抱え込みやすい環境ともいえます。
最大の退職理由が「職場の人間関係」であることと、公立にベテランが長く定着しやすいことを重ね合わせると、公立では人間関係の悩みが固定化・長期化しやすい構造が見えてきます。
「辞めたい」と感じること自体は、決しておかしいことではありません。データは判断材料の一つとして、自分の気持ちも大切にしてください。
3. 公立保育士を辞めたい|「もったいない」と言われる理由とデメリット

公立保育士を辞めるか迷うのは、多くの人が「安定を手放してよいのか」で悩むからです。
後悔しないために、辞めることで失うものを冷静に確認しておきましょう。
地方公務員としての雇用の安定を手放すことになる
公立保育士は地方公務員です。経営状況による解雇の心配がほとんどなく、産休・育休や介護休暇も取得しやすい環境が整っています。
この雇用の安定は、公立を辞めると失われる最も大きなものだと理解しておきましょう。
年功序列で上がる給与・退職金・共済制度
公立は勤続年数に応じて給与が上がり、退職金や共済組合の制度も手厚いのが特徴です。
経営実態調査でも、主任・園長など役職が上がると公立の給与が私立を上回る傾向が示されています。
目先の月給だけでなく、長く働いた場合の待遇まで含めて比べることが大切です。
出典:こども家庭庁「幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」
一度辞めると公立への復帰は難しい
公立保育士になるには、自治体の採用試験に合格しなければなりません。一度退職すると、同じ立場に戻るには試験の受け直しが必要で、簡単には復帰できません。
「いつでも戻れる」わけではない点は、判断の前に押さえておきましょう。
4. 公立保育士を辞めたいときにまず試したい現職での対処法
退職はいつでもできる選択です。だからこそ、その前に「今の立場のまま悩みを軽くできないか」を試す価値があります。
「辞めたい理由」を書き出して整理する
まずは、何がいちばんつらいのかを紙やノートに書き出してみましょう。
理由がはっきりすると、「今の園で相談すべきこと」と「環境を変えないと解決しないこと」が見えてきます。
辞めたい気持ちを整理する10のセルフチェック
【職場・人間関係のサイン】
- 異動のたびに人間関係の作り直しがつらい
- 園長や同僚と保育方針が合わず、相談もしにくい
- 自治体のルールが多く、やりたい保育ができない
- 保護者対応で常に気を張っている
【心と体のサイン】
- 朝、園に向かうと足が重い、または涙が出る
- 休日も仕事のことが頭から離れず、休まらない
- 子どもと笑顔で接するのが以前より難しくなった
- 疲れや寝不足など、体に不調が出ている
【これからのキャリア】
- 今の園で理想の保育ができると思えない
- 5年後、同じ場所で笑顔で働く自分が想像できない
心と体のサインが多く当てはまる場合は、まず「休むこと」を最優先に考えてください。
自治体に異動希望を出す
悩みの原因が「今の園の人間関係や雰囲気」にある場合、退職ではなく他の公立園への異動で解決することもあります。
多くの自治体には異動希望を出す仕組みがあるため、辞める前に検討したい選択肢です。
病気休暇・休職制度を活用する
心身の不調を感じているなら、公務員として整っている病気休暇や休職の制度を利用する方法があります。
無理を続けて体調を崩す前に、休んで立て直す選択があることを覚えておいてください。
上司や園長に業務の調整を相談する
負担の大きい業務や苦手な担当は、園長や主任に相談すると調整してもらえる場合があります。一人で抱え込まず、まず信頼できる相手に状況を伝えることが解決の第一歩です。
5. それでも辞めたい公立保育士のキャリア選択肢

現職での工夫を試しても気持ちが変わらないなら、次の道を具体的に考えてみましょう。
公立を離れる場合の選択肢は、大きく3つの方向に整理できます。
働き方を変える(パート・臨時職員・派遣)
正規職員としての負担が大きい場合は、パートや臨時職員、派遣保育士へ働き方を変える方法があります。
責任や勤務時間を調整しながら、保育の仕事を続けたい人に向いた選択肢です。
私立保育園・認定こども園に転職する
「自由な保育がしたい」「異動のない環境で働きたい」なら、私立保育園や認定こども園への転職が候補になります。
近年は処遇改善が進み、待遇の整った私立園も増えています。園ごとの方針や条件をよく確認して選びましょう。
資格や経験を活かせる異業種に挑戦する
保育士の資格や現場経験は、保育園以外でも活かせます。子どもや人と関わる仕事の幅は、思っているより広いものです。たとえば次のような選択肢があります。
- 児童館・学童保育・子育て支援センターなど、子どもと関わる施設
- ベビーシッターや企業内保育など、少人数で関われる働き方
- 子ども向け商品を扱う企業、一般事務など、経験を活かせる異業種
6. 公立保育士を辞めたいと決めたあとの退職手続き

退職を決めたら、円満に次へ進むための手続きを確認しましょう。
公立保育士は地方公務員のため、一般企業とは少し流れが異なります。
退職を伝えるタイミングは年度末・2〜3か月前が基本
民法第627条では、退職の申し入れから2週間で雇用契約は終了しますが、保育現場では引き継ぎを考えて1〜3か月前に伝えるのが一般的です。
とくに年度末(3月末)での退職は、子どもや園への影響を抑えやすく、最も円満に進みやすいタイミングです。
公務員は「辞職願」|一般企業との違い
一般企業では「退職願」「退職届」を提出しますが、地方公務員である公立保育士は「辞職願」を提出し、任命権者の承認を受けて退職します。
提出書類や手続きの詳細は自治体で異なるため、早めに人事担当へ確認しておくと安心です。
引き継ぎと退職後の公的制度を確認する
担当クラスの記録や業務の引き継ぎを丁寧に行うことは、円満退職につながります。
退職後の生活が不安な場合は、失業保険(基本手当)も確認しておきましょう。自己都合の退職でも、受給要件を満たせば給付を受けられます。
出典:厚生労働省「ハローワークインターネットサービス(基本手当について)」
よくある質問
最後に、公立保育士が辞めたいと考えるときに多い疑問にお答えします。
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公立保育士を1年目で辞めると転職に不利になりますか?
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1年目での退職を過度に不安に思う必要はありません。
厚生労働省のデータでは、公立保育士の1年目の離職率は1.1〜3.7%で、私立の7.2〜10.0%より低い傾向です。
大切なのは、退職理由を前向きな言葉で整理して伝えられるようにしておくことです。
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公立保育士から転職を成功させるコツはありますか?
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「何を大切にしたいか」を先に決めておくことが近道です。
給与・働き方・保育の自由度など優先順位をはっきりさせると、園選びで迷いにくくなります。
面接では退職理由を前向きな言葉に整理し、一人で抱え込まず転職エージェントなど第三者に相談するのも有効です。
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公立保育士の退職は年度途中でもできますか?
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制度上は年度途中の退職も可能です。ただし公立保育士は地方公務員のため、引き継ぎや子どもへの影響を考え、年度末(3月末)や2〜3か月前の申し出が円満に進みやすいとされています。
やむを得ない事情がある場合は、早めに人事担当へ相談してください。
まとめ|公立保育士を辞めたい気持ちと向き合うために

公立保育士を辞めたいと感じる背景には、異動や人間関係、自治体のルールといった公立ならではの事情があります。
まずは異動希望や休職など現職での対処法を試し、それでも気持ちが変わらなければ、働き方の変更や転職も選択肢です。
今のつらさは、真剣に保育と向き合ってきた証でもあります。データも参考にしながら、自分を大切にできる道を選んでください。