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保育士の退職金はいくら?公立・私立の相場・計算方法・注意点を解説

「保育士は退職金が少ない」と耳にしたことはありませんか?

実際には、公立か私立か、何年勤めたか、雇用形態によって金額は大きく変わります。条件次第では数百万円の差が出る場合もあります。

この記事では、退職金の相場・計算方法・支給時期・注意点をわかりやすく解説します。

この記事を読んでわかること
  • 公立・私立それぞれの退職金の相場と計算方法<について
  • 退職金がもらえる条件と、もらえないケースについて
  • 支給時期・手続き・転職時の引き継ぎまでについて

1. 保育士の退職金、公立と私立でどう違う?

1. 保育士の退職金、公立と私立でどう違う?

保育士の退職金は、公立か私立かで制度の仕組みがまったく異なります。

支給の根拠・平均額・手続きすべてが変わるため、まずここを整理しておきましょう。

公立保育園(地方公務員)の場合

公立保育士は地方公務員です。退職金(正式名称:退職手当)は各自治体の条例で定められており、退職時の基本給・勤続年数・退職の理由をもとに計算されます。

制度が法律・条例でしっかり保障されているため、「うちの園には制度がない」という心配は不要です。長く勤めるほど支給額が増え、定年まで働いた場合は1,000万円を超えることもあります。

私立保育園の場合(WAM=退職手当共済制度)

私立保育園には、退職金制度を設ける法律上の義務がありません。

多くの社会福祉法人は、独立行政法人福祉医療機構(WAM)が運営する「退職手当共済制度」に加入することで退職金を用意しています。

「勤め先がWAMに加入しているか」が、退職金の有無を左右する大きなポイントです。

参考:独立行政法人福祉医療機構(WAM)

株式会社・NPO法人の園は制度がない場合も

WAMへの加入は社会福祉法人が中心で、株式会社はWAMに加入できません。

そのため、株式会社やNPO法人が運営する園・企業内保育所では、退職金制度がないケースがあります。就職・転職前に必ず確認しましょう。

2. 退職金がもらえる条件とは?

退職金制度がある職場でも、条件を満たさなければ支給されません。主なポイントを確認しておきましょう。

公立保育園の場合

基本的に勤続6ヶ月以上の正規職員(常勤)が対象です。

ただし勤続年数が短いほど支給率は低く、まとまった金額になるのは数年以上勤めてからになります。パートタイム(会計年度任用職員)への扱いは自治体によって異なります。

私立保育園(WAM)の場合

常勤職員として1年以上加入していることが基本条件です。パートタイムや短時間勤務は原則として対象外です。勤続1年未満は支給なし、1〜2年程度ではごくわずかになることがほとんどです。

退職金がもらえない主なケース

3. 保育士の退職金の平均相場

公立と私立では、退職金の平均額に大きな差があります。

公立の平均は総務省データをもとにした約837万円、WAM加入の私立では約480万円が目安で、350万円以上の差があります。

WAMに加入していない園や株式会社運営の園では、さらに低くなるかゼロになる場合もあります。いずれも長期勤続者の数字であり、勤続年数が短ければ金額は小さくなります。

4. 退職金の計算方法とシミュレーション

4. 退職金の計算方法とシミュレーション

自分の勤続年数に当てはめて、おおよその金額を確認してみましょう。

公立保育園

計算式

退職手当(基本額)= 退職時の基本給月額 × 支給率(勤続年数・退職理由別)
※役職などに応じた「調整額」が加算される場合もあります。

支給率は退職の理由(定年・自己都合・勧奨など)によっても変わります。自己都合退職は定年より支給率が低いため、同じ勤続年数でも手取り額が少なくなります。

勤続年数別シミュレーション(基本給25万円の場合)

※実際の金額は自治体の条例によって異なります。

私立保育園(WAM共済)

計算式

退職手当額 = 計算基礎額(基本給月額をもとに定めた額) × 支給率(加入期間別)

加入期間が長いほど支給率が上がります。WAM公式サイト(wam.go.jp)のシミュレーターで自分の金額を試算することもできます。

勤続年数別シミュレーション(計算基礎額25万円前後の場合)

※WAM加入園での目安です。非加入の園は就業規則の内容によります。

5. 退職金にかかる税金は?控除でほぼゼロになることも

5. 退職金にかかる税金は?控除でほぼゼロになることも

退職金には所得税がかかりますが、「退職所得控除」という大きな控除があるため、多くのケースでほとんど税金がかかりません。

たとえば勤続10年なら控除額は400万円。私立で10年勤務した場合の退職金(約115万円)は控除額を大きく下回るため、税金は0円です。

勤続30年でも控除額は1,500万円になるので、長期勤続であれば公立・私立どちらでもほぼ税金はかかりません。

詳しくは国税庁の公式サイト(nta.go.jp)で確認できます。

6. 退職金はいつもらえる?支給時期と手続き

6. 退職金はいつもらえる?支給時期と手続き

退職してもすぐには振り込まれません。支給まで時間がかかるため、退職後の生活費は余裕を持って準備しておきましょう。

公立は退職後1ヶ月以内が目安

各自治体の条例で定められており、手続きが完了次第、指定口座に振り込まれます。目安は退職後1ヶ月以内です。

私立(WAM)は退職後2〜3ヶ月程度が目安

退職後に園がWAMへ請求手続きを行い、その後振り込まれます。

2〜3ヶ月程度かかるのが一般的です。退職直後は収入がゼロになることを踏まえ、生活費を事前に確保しておくと安心です。

申請しないともらえない!

退職金は自動的に振り込まれるものではありません。

特に私立保育園では自分で申請手続きが必要なことが多く、「手続きをしなかったためもらえなかった」というケースも実際にあります。

退職が決まったら早めに担当者へ確認しておきましょう。

7. 保育士の転職時に確認しておくこと

WAM加入園から別のWAM加入園に転職する場合と、そうでない場合とで、退職金の扱いが大きく変わります。転職前に確認しておきたいポイントを整理しました。

WAM加入園どうしの転職なら加入期間を引き継げる

WAM加入園から別のWAM加入園に転職する場合、加入期間を通算できる仕組みがあります。前の職場での期間がリセットされず、次の職場の期間と合算して退職金が計算されます。

この通算制度を使うには、退職時に「共済手帳」を受け取り、次の職場に提出することが必要です。

受け取り忘れのないよう、退職前に担当者に確認しておきましょう。WAM非加入の園(株式会社など)への転職では通算できません。

退職金制度がある園の見分け方

①労働条件通知書・就業規則を確認する

内定後の「労働条件通知書」に退職金の記載があるか必ず確認しましょう。在職中なら就業規則を閲覧する権利があります。

②運営法人の種類で見当をつける

転職エージェントを使っている場合は「退職金制度がある園を希望」と伝えると、条件を絞って紹介してもらえます。

8. 保育士の退職金に関するよくある質問

8. 保育士の退職金に関するよくある質問

保育士の退職金について、よくある疑問をまとめました。

Q. パートや派遣でも退職金はもらえますか?

パート・アルバイトは原則としてWAMの加入対象外です。

公立のパートタイム(会計年度任用職員)は自治体によって扱いが異なります。派遣保育士は、派遣先の園ではなく派遣元の会社の規定が適用されます。詳しくは雇用元に直接確認してみましょう。

Q. 退職金がないと言われたらどうすればいい?

まず就業規則を確認しましょう。

退職金の規定がない場合、法律上の支払い義務はないため請求しても支払われません。「功労報奨金」「退職慰労金」など別の名目で類似制度がある場合もあるので、あわせて確認する価値はあります。

Q. 自己都合退職だと退職金は減りますか?

公立(地方公務員)は退職理由で支給率が変わります。

自己都合退職は定年・勧奨退職より支給率が低く、同じ勤続年数でも手取り額が少なくなります。私立(WAM)は退職理由による差が小さく、「普通退職」としてほぼ同率で扱われることが多いです。

Q. 産休・育休中の期間は勤続年数に含まれますか?

公立・WAMともに、産休・育休中も在職期間としてカウントされるのが基本です。

安心して取得してもらって問題ありません。細かい扱いが気になる場合は、人事担当者か自治体窓口に確認してみてください。

Q. 退職金が振り込まれない場合はどうすればいい?

目安の時期(公立は1ヶ月以内、私立WAMは2〜3ヶ月程度)を過ぎても振り込まれない場合は、まず勤務先の担当者に確認しましょう。

それでも解決しない場合は、都道府県の労働局や労働基準監督署に相談できます。

9. 退職金の仕組みを知って、自分の働き方を見直そう

9. 退職金の仕組みを知って、自分の働き方を見直そう

退職金の額は、公立か私立か、勤続年数、雇用形態によって大きく変わります。

今の職場に制度があるか、転職するなら期間を引き継げるか——こうした点を事前に知っておくだけで、将来の見通しがぐっと変わります。

この記事が、自身のキャリアを考えるきっかけになれば幸いです。

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