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1歳児の発達の特徴|月齢別の姿と保育士の関わり方を解説

「1歳児クラスを担当することになったけれど、どんな成長を見守っていけばいいのだろう」と感じたことはないでしょうか。

1歳児は、歩く・話す・自分の気持ちを出すといった姿が、わずか1年のあいだに大きく変わっていく時期です。

1歳児とは、ねんねやハイハイ中心の赤ちゃんから、自分の足で歩き、言葉や気持ちを表現しはじめる「幼児のスタート地点」にあたる子どもたちです。

できることが日々増えていく分、一人ひとりの育ちに合わせた関わりや、安全面への配慮が欠かせません。

この記事では、1歳児クラスの保育に関わる方に向けて、月齢別の発達の特徴と保育での関わり方、おすすめの遊び、安全対策までを、公的なデータをもとにわかりやすく整理します。

この記事を読んでわかること
  • 1歳児の発達の特徴を、月齢別・領域別(体・手先・言葉・心)について
  • 発達の姿に合わせた、保育での具体的な関わり方について
  • 事故を防ぐ安全対策や、成長を促す遊び・保護者連携のポイントについて

1. 1歳児とはどんな時期?「乳児」から「幼児」への大きな節目

1. 1歳児とはどんな時期?「乳児」から「幼児」への大きな節目

1歳の誕生日は、子どもにとって大きな節目です。児童福祉法では、満1歳になるまでを「乳児」、満1歳から小学校就学前までを「幼児」と区分しています。

つまり1歳児は、赤ちゃんを卒業して幼児期に入る、成長の入り口にいる子どもたちといえます。

保育の現場でも、この時期は特に大切に位置づけられています。

保育所保育指針では「1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容」がまとめられ、歩く・走るといった運動機能の発達や、指さし・二語文などの言葉の育ち、身のまわりのことへの興味を大切に育てる視点が示されています。

出典:保育所保育指針(厚生労働省)

発達は「体・手先・言葉・心」の4つの面で見るとわかりやすい

1歳児の成長は幅広いため、いちどに全部を追おうとすると大変です。次の4つの面に分けて見ると、一人ひとりの育ちを整理しやすくなります。

1歳児の成長

  • 体(全身運動)
    歩く、走る、よじ登るなど、体を大きく使う力
  • 手先(微細運動)
    つまむ、めくる、積むなど、指先を細かく使う力
  • 言葉
    喃語から一語文、そして二語文へと広がるやりとりの力
  • 心(情緒・社会性)
    自我の芽生え、模倣、まわりの人への興味

この記事でも、この4つの面を軸に発達の姿を見ていきます。

2. 【月齢別】1歳児の発達の特徴と保育での関わり方

2. 【月齢別】1歳児の発達の特徴と保育での関わり方

1歳児といっても、1歳0か月と1歳11か月ではまるで別人のように成長します。ここでは約3か月ごとに区切って、発達の姿と保育での関わり方を見ていきます。

あくまで目安であり、育ちのペースには大きな個人差があることを前提に読んでください。

1歳0〜3か月ごろ

発達の姿

つかまり立ちや伝い歩きから、少しずつ一人歩きへと向かう時期です。「マンマ」などの意味のある言葉が出はじめる子も増えてきます。

まわりの物に興味津々で、引き出しの中身を出したり、ティッシュを引っ張り出したりする姿もよく見られます。

保育での関わり方

保育では、安心して歩く練習ができるよう、床の安全を整えることが大切です。いたずらに見える探索も、指先や感覚を育てる大切な活動です。

頭ごなしに止めず、「触っても大丈夫なもの」を用意して、やりたい気持ちを受け止めましょう。

1歳4〜6か月ごろ

発達の姿

歩く力が安定し、歩ける子がぐんと増えます。

手先も器用になり、スプーンを持とうとしたり、積み木を重ねたりできるようになってきます。話せる言葉の数も少しずつ増えていきます。

保育での関わり方

「自分で!」という気持ちが強くなる時期でもあります。

時間がかかっても、着替えや食事を自分でやろうとする姿を見守り、さりげなく手を添える関わりが育ちを支えます。

1歳7〜9か月ごろ

発達の姿

走る・段差をのぼるなど、動きがダイナミックになります。

「ママ、きた」のように二語文が出はじめる子もいます。ごっこ遊びの芽が見られ、大人のまねを楽しむようになります。

保育での関わり方

言葉にできない気持ちからくる自己主張やかんしゃくも増えてきます。

「イヤだったね」と気持ちを言葉にして代弁しながら、落ち着くまでそばで寄り添う関わりが安心につながります。

1歳10か月〜2歳ごろ

発達の姿

全身の動きがさらに活発になり、ジャンプや階段の上り下りに挑戦する姿も見られます。

言葉の理解が進み、簡単なやりとりができる子も増えます。友だちへの興味が高まる一方で、おもちゃの取り合いも起こりやすくなります。

保育での関わり方

まだ「順番」や「貸して」を自分から言うのは難しい時期です。

トラブルの場面では、両方の気持ちを受け止めながら、大人が言葉のモデルを示していくことが、社会性の育ちを支えます。

3. 1歳児の体と運動の発達|歩く力と手先の動き

1歳児は、体を大きく使う「粗大運動」と、指先を細かく使う「微細運動」の両方が大きく伸びる時期です。

身長・体重の平均は、次のとおりです。

ただし成長曲線の帯(3〜97パーセンタイル)の中で緩やかに増えていれば問題ないとされており、平均から多少外れていても心配しすぎる必要はありません。

出典:令和5年乳幼児身体発育調査(こども家庭庁)

一人歩きは「1歳半ごろにできる子が多い」が目安

歩きはじめる時期は、子どもによって大きく違います。同じ調査では、一人歩きができる子の割合は次のように変化していきます。

出典:令和5年乳幼児身体発育調査(こども家庭庁)

このように、1歳の誕生日にはまだ歩いていない子も多く、1歳半ごろにはほとんどの子が歩けるようになります。

歩きはじめが遅めでも、それだけで発達の遅れとはいえません。保護者から不安の相談を受けたときも、こうした目安を共有すると安心につながります。

手先の発達は「つまむ」がひとつのサイン

親指と人差し指で小さな物をつまめるようになるのも、この時期の大きな特徴です。

シールをはがす、ボタンを押す、クレヨンでなぐり描きをするなど、指先を使う遊びを取り入れると、手先の発達を無理なく促せます。

4. 1歳児の言葉の発達|喃語から一語文・二語文へ

4. 1歳児の言葉の発達|喃語から一語文・二語文へ

令和5年の同じ調査からは、発達の「順序」も読み取れます。

一人歩きができる子が9割を超えるのは1歳4〜5か月ごろ、一語以上の言葉を話す子が9割を超えるのは1歳6〜7か月ごろで、歩く力の広がりが、言葉の広がりよりおよそ2か月先行しています

まず全身の運動が育ち、少し遅れて言葉が広がっていく、この順序を知っておくと、「歩行が安定してきた次は、言葉のインプットを厚くする」といった保育の見通しが立てやすくなります。

言葉の発達には、大きく3つのステップがあります。「あーあー」といった喃語から、「ワンワン」などの一語文へ、そして「ママ きた」のような二語文へと広がっていきます。

一語以上の言葉を話す子の割合は、次のとおりです。

出典:令和5年乳幼児身体発育調査(こども家庭庁)

「話さない=遅れ」ではない。まずはインプットの時期

言葉が出るタイミングにも個人差があります。

この調査では、1歳前後で言葉を話す子の割合は前回調査より低めという結果も出ており、まだ言葉が出ていなくても過度に心配する必要はありません。

大切なのは、言葉が出る前の「ため込む時期(インプット期)」です。

子どもが指さしをしたら「わんわん、いたね」と言葉にして返す、絵本を一緒に見ながらゆっくり語りかけるなど、言葉のシャワーを浴びせる関わりが、その後の発語を支えます。

言葉の理解が進んでいたり、指さしで気持ちを伝えられていれば、発語がゆっくりでも育ちは進んでいます。

5. 1歳児の心の発達|自我の芽生えと「イヤイヤ」の始まり

5. 1歳児の心の発達|自我の芽生えと「イヤイヤ」の始まり

1歳児は、「自分」という意識が芽生えはじめる時期です。

「自分でやりたい」「これがいい」という気持ちが強くなり、思いどおりにならないと泣いたり、首を横に振って「イヤ」と拒否したりする姿が増えてきます。いわゆるイヤイヤ期の入り口です。

この自己主張は、困った行動ではなく健全な成長のサインです。まだ気持ちを言葉でうまく表せないため、行動で表現しているのだと捉えると、関わり方が見えてきます。

保育でのかかわり方

「〇〇したかったんだね」と気持ちを代弁し、まずは受け止めることが基本です。

すぐに泣きやませようとせず、落ち着くまでそばにいるだけでも、子どもにとっては大きな安心になります。

物を投げる・かむといった行動が出たときは、危険がないよう止めたうえで、真剣なまなざしと落ち着いた声で「痛いよ」と短く伝えると、少しずつ理解が進んでいきます。

6. 1歳児の生活の発達|離乳食の完了と生活リズム

1歳児は、離乳食を終えて幼児食へと移っていく時期でもあります。調査では、1歳3〜4か月ごろには8割以上の子が離乳を完了しています。

食材のかたさや大きさは、歯の生え方に合わせて調整します。奥歯が生えそろうまでは、かみつぶしやすい大きさにすることが、誤嚥(ごえん)の予防にもつながります。

出典:令和5年乳幼児身体発育調査(こども家庭庁)

「手づかみ食べ」や「遊び食べ」は成長の一部

食べ物を手でつかんだり、こぼしたり、ときには投げたりする姿も、この時期にはよく見られます。

手づかみ食べは、手先の発達と「自分で食べる楽しさ」を育てる大切な経験です。汚れてもよいように環境を整え、大らかに見守ることが、食への意欲を伸ばします。

また、1日3回の食事と午睡を軸にした規則正しい生活リズムを整えることも、心と体の安定につながります。

7. 1歳児の保育で大切な安全対策|事故を防ぐ環境づくり

7. 1歳児の保育で大切な安全対策|事故を防ぐ環境づくり

歩けるようになる時期は、実は事故が最も増える時期でもあります。

令和5年の調査では、ひとり歩きができる子は1歳2〜3か月で約83%、1歳4〜5か月で約97%と、1歳半前後で急増します。

一方で、乳幼児の事故のきっかけを分析した公的資料では、「転倒(転ぶ)」を原因とする事故は1歳・2歳で0歳の約3倍にのぼります。

低月齢ほど頭が大きく重心が上にあって転びやすい体のつくりであることも指摘されています。

安全対策をしっかりと

つまり、歩けるようになった喜び(探索範囲の広がり)と、転倒しやすさ・事故の増加が同時に重なるのがこの時期です。

「歩けるようになったから見守りを緩める」のではなく、「歩けるようになったからこそ安全対策を一段強める」タイミングだと捉えると、事故予防の優先度が見えてきます。

出典:子供の事故の傾向・成長発達・歯科保健(東京都消費生活対策審議会 資料/国民生活センターデータより)

気を付けたいポイントをしっかり確認する

1歳児は、「できること」が急に増える一方で、危険を予測する力はまだ育っていない時期です。歩けるようになり、手が届く範囲も広がるため、この時期にとくに気をつけたいのが、次のポイントです。

ポイントを確認

  • 誤飲・誤嚥
    小さな物は口に入りやすいため、手の届く場所に置かない。たばこ・電池・洗剤などは高い位置で管理する
  • 転落・転倒
    椅子や棚によじ登ろうとするため、窓やベランダの施錠を徹底し、家具の配置を見直す
  • 指はさみ
    ドアや引き出しに指を挟みやすいので、フィンガーガードなどで対策する
  • やけど
    熱い物や電化製品には近づけない配置にする

「危ないからダメ」と行動を制限しすぎるのではなく、安全な環境を整えたうえで、思いきり探索できるようにするバランスが、この時期の保育では大切です。

8. 1歳児の発達を促すおすすめの遊び

遊びは、1歳児の発達を支える一番の学びの場です。発達の4つの面に合わせて、取り入れやすい遊びを紹介します。

  • 体を使う遊び
    マットの上でのハイハイやよじ登り、ボールを転がす・追いかける遊び
  • 手先を使う遊び
    シール貼り、型はめ、新聞紙をやぶる・丸める遊び
  • 言葉・音の遊び
    絵本の読み聞かせ、手遊び歌、まねっこ遊び
  • 感覚を楽しむ遊び
    砂遊びや水遊び、感触を確かめる素材遊び

特別な道具がなくても、身近な素材で十分に楽しめます。

うまくできることよりも、「やってみたい」という気持ちや、できたときの満足感を大切にすることが、意欲や自信の土台になります。

9. 1歳児の保育で押さえたい観察・記録のポイント

一人ひとりの育ちに合わせた保育のためには、日々の観察と記録が欠かせません。次の視点で子どもの姿を見ておくと、指導計画や連絡帳、保護者との共有に役立ちます。

  • 体の発達
    歩き方の安定、手先の動き、できるようになった動作
  • 言葉
    話せる言葉、指さしや理解の様子、やりとりの広がり
  • 心・社会性
    自己主張の出方、友だちへの関心、気持ちの切り替え
  • 生活・健康
    食事や睡眠のリズム、体調の変化

大切なのは、「できた/できない」で評価することではなく、その子なりの育ちのプロセスを丁寧に見ていくことです。

気になる姿があるときは、一人で抱え込まず、園内で共有し、必要に応じて健診や専門機関につなぐ視点も持っておきましょう。

10. 1歳児の発達を保護者にどう伝える?家庭との連携のポイント

10. 1歳児の発達を保護者にどう伝える?家庭との連携のポイント

1歳児クラスでは、「うちの子、歩くのが遅いのでは」「まだ言葉が出なくて心配」といった保護者からの相談が増えます。

発達の目安を知っている保育士だからこそ、その不安にどう寄り添えるかが、大切な役割になります。

  • 成長を具体的に伝える
    連絡帳や送迎時に、「今日はつかまり立ちから一歩踏み出しました」など、その日の小さな育ちを具体的に伝えると、保護者の安心につながります。
  • 個人差を前提に寄り添う
    一人歩きは1歳半ごろにほとんどの子ができるようになること、言葉は話す前の「ため込む時期」が大切であることなど、目安を共有しながら、ほかの子と比べて焦らなくてよいことを言葉にして伝えましょう。
  • 家庭と関わりをそろえる
    園で取り入れている声かけや遊びを共有すると、家庭でも同じ関わりがしやすくなり、子どもの育ちを一緒に支えられます。
  • 気になる姿は慎重に共有する
    発達で気になる点があるときは、断定的な言い方は避け、園での様子を具体的に伝えたうえで、1歳6か月児健診などで相談する流れにつなげると、保護者も受け止めやすくなります。

日々の成長を一緒に喜んでくれる保育士の存在は、保護者にとって大きな支えになります。「気になることは一人で抱え込まなくて大丈夫」という姿勢が伝わる関わりを心がけたいものです。

よくある質問

1歳児がなかなか寝ない・生活リズムが整わないときはどうすればいいですか?

この時期は活動量が増え、寝つきが不安定になることもあります。

起きる時間・食事・午睡・就寝の時間をできるだけ一定にし、日中は体を使った遊びを取り入れると、生活リズムが整いやすくなります。

夜の寝つきをよくするために、午睡が長すぎないか、時間帯が遅すぎないかを見直すのもひとつの方法です。

体調や発達で気になることが続くときは、健診や専門機関で相談すると安心です。

1歳児がごはんを食べない・食べムラがあるときはどうすればいいですか?

1歳児は食べる量や好みに波が出やすく、日によって食べムラがあるのは珍しくありません。

無理に完食させようとせず、遊び食べや手づかみ食べも「自分で食べたい」気持ちの表れとして見守ると、食への意欲が育ちやすくなります。

食事の時間や量を一定にし、おなかが空くリズムをつくることも助けになります。体重の増え方や体調に気になる変化が続く場合は、健診や園の栄養士・専門機関に相談しましょう。

1歳半健診ではどんなことを確認しますか?

1歳6か月児健診では、一般的に身長・体重などの発育、歩行やつまむ動作といった運動面、意味のある言葉や指さし、名前を呼ばれたときの反応などの発達面、歯の状態や生活習慣などを確認します。

あくまで発達を見守るための機会であり、その場の結果だけで発達を判断するものではありません。

実施内容や持ち物は自治体によって異なるため、詳しくはお住まいの市区町村の案内で確認してください。

1歳児のしつけや叱り方はどこまで必要ですか?

1歳児はまだ善悪を理解して行動する段階ではないため、厳しく叱ってしつけるよりも、気持ちを受け止めながら望ましい行動を繰り返し伝えることが基本です。

かむ・投げるなど危険につながる行動が出たときは、まず安全を確保して行動を止め、真剣な表情と落ち着いた声で「痛いよ」など短い言葉で伝えると、少しずつ理解が進みます。

感情的に叱り続けるより、代わりにしてほしい行動を具体的に示すほうが、この時期には伝わりやすくなります。

まとめ|一人ひとりの育ちに寄り添う1歳児の保育

まとめ|一人ひとりの育ちに寄り添う1歳児の保育

1歳児は、歩く・話す・気持ちを表すといった姿が大きく育つ、変化にあふれた時期です。だからこそ、月齢や一人ひとりのペースの違いを前提に、その子なりの育ちを丁寧に見守っていくことが大切になります。

発達の目安を知っておくことは、保育の見通しを立てたり、保護者の不安に寄り添ったりするうえで役立ちます。

一方で、目安はあくまで目安です。「できる/できない」にとらわれず、子どもの「やってみたい」という気持ちを支え、安全な環境の中で探索を楽しめるようにする関わりが、1歳児の保育の土台になります。

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