「10年、ずっとがんばってきた。もし今辞めたら、退職金はいくらもらえるんだろう?」
勤続10年という節目を迎えると、そんな気持ちがふと頭をよぎることがあるかもしれません。退職金の金額は、公立か私立か、どんな制度に加入しているかによって、数十万円から数百万円規模で変わってきます。
この記事では、保育士の退職金について「10年勤めたらどのくらいになるのか」を中心に、計算方法・税金のこと・支払い時期・もらえないケースまで、できるだけわかりやすく解説します。
1. 保育士に退職金はある?まず制度の基本を確認しよう

退職金は、法律で「必ず支払わなければならない」と定められているものではありません。あくまでも各施設や法人が独自に設けている制度です。そのため、勤め先によって「ある・ない」が大きく異なります。
大まかに分けると、次の3パターンになります。
公立保育園(市区町村直営)
地方公務員として勤務するため退職手当の制度が整っており、ほぼ確実に受け取れます。
社会福祉法人が運営する私立保育園
多くの法人が「退職手当共済制度(WAM)」に加入しており、制度がある場合が多いです。
株式会社やNPO等が運営する私立保育園
運営者によって差があり、制度がない場合もあります。
まず自分の職場に退職金制度があるかどうか、就業規則や労働契約書を確認することが第一歩です。
2. 退職金を受け取るための主な条件
受給の必須条件
勤続 3年以上
正規職員が対象「理由」で変動
自己 vs 会社都合「申請」が必須
自動では出ません退職が決まったら、まず「担当者」へ流れを確認!
制度があっても、必ずしも全員が受け取れるわけではありません。
多くの職場では勤続3年以上の正規職員であることが基本的な条件です。パートやアルバイトは対象外のことが多く、また自己都合退職か会社都合退職かによっても支給額が変わります。
特に見落としがちなのが「申請手続き」です。WAM共済の退職金は、退職後に本人または施設側が手続きをしなければ支払われません。
退職が決まったら、早めに職場の担当者に手続きの流れを確認しましょう。
3. 勤続10年の退職金はいくら?公立・私立それぞれの相場

公立と私立では、退職金の計算方法も金額の目安も異なります。それぞれの仕組みと、勤続10年時点の具体的な数字を確認しましょう。
公立保育士(地方公務員)の場合
公立保育士は地方公務員なので、各自治体の「退職手当条例」に基づいて退職金が計算されます。
計算式
公立保育士(地方公務員)の計算式※支給率は自治体の条例により異なります
勤続10年・自己都合退職の場合の目安
支給率はおよそ6.0前後です。
給料月額が25万円の場合、25万円 × 6.0 = 約150万円が目安になります。自治体によって条例の内容が異なるため、正確な金額は勤め先の自治体に確認してください。
私立保育士(WAM共済に加入している場合)の場合
社会福祉法人が運営する多くの私立保育園は、独立行政法人 福祉医療機構(WAM)の「社会福祉施設職員等退職手当共済制度」に加入しています。
計算式
私立保育士(WAM共済)の計算式※計算基礎額は退職前6ヶ月の平均給与額
勤続10年・普通退職(自己都合)の場合の目安
支給乗率は5.22です。計算基礎額(退職前6ヶ月の平均給与額)が25万円の場合、25万円 × 5.22 = 約130万5,000円が目安になります。
【早見表】勤続年数別の退職金目安(私立・WAM共済、計算基礎額25万円・普通退職の場合)
| 勤続年数 | 支給乗率 | 退職金の目安 |
|---|---|---|
| 3年 | 1.26 | 約31万5,000円 |
| 5年 | 2.10 | 約52万5,000円 |
| 10年現在地 | 5.22 | 約130万5,000円 |
| 15年 | 9.22 | 約230万5,000円 |
| 20年 | 13.74 | 約343万5,000円 |
| 30年 | 24.74 | 約618万5,000円 |
5年と10年を比べると退職金がおよそ2.5倍になります。勤続年数の区切りを意識しておくと、退職のタイミングで損をしにくくなります。
出典:独立行政法人 福祉医療機構(WAM)「社会福祉施設職員等退職手当共済制度 支給乗率表」(平成28年4月改定)
URL:https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/taisyokuteate/
4. 退職金に税金はかかる?保育士の10年退職なら非課税になるケースがほとんど

退職金を受け取る際、「税金がかかるのでは?」と気になる方も多いですが、退職金には「退職所得控除」という大きな非課税枠があります。勤続年数が20年以下の場合、控除額は次の式で計算します。
退職所得控除額の計算式(勤続20年以下)退職金が400万円以下なら課税対象ゼロ。勤続10年の保育士はほぼ全額が手取り
勤続10年の場合、40万円 × 10年 = 400万円が控除されます。退職金が400万円以下であれば、課税対象となる退職所得は0円です。
勤続10年の退職金は約130〜150万円が目安であり、控除額(400万円)を大きく下回ります。そのため、ほとんどの保育士は退職金を全額手取りで受け取れます。
ただし、退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を職場に提出しておかないと、一時的に源泉徴収される場合があります。この書類の提出は忘れずに行いましょう。
5. 退職金はいつ支払われる?
振込はいつ?
公立保育士
私立 (WAM加入)
早めに「担当者」へ確認すると安心!
退職後すぐに振り込まれるわけではないため、生活費の計画を立てる際は支払い時期も把握しておきましょう。
公立保育士は退職から約1ヶ月後、私立(WAM共済加入)は1〜3ヶ月後が目安です。施設によっては手続きに時間がかかることもあるため、退職が決まったら早めに担当者へ確認しておくと安心です。
6. 保育士の退職金、もらえないケースとは

退職金制度がある職場でも、状況によっては受け取れないことがあります。
「勤続年数が規定(多くは3年)に満たない」「パート・アルバイト・派遣として勤務している」「申請手続きをしなかった」「懲戒解雇になった」といったケースが代表的です。
また、株式会社やNPO等が運営する園では、そもそも退職金制度が設けられていない場合もあります。
自分の職場に退職金制度があるかどうかは、就業規則の「退職金」または「退職手当」に関する条項を確認するのが確実です。わからない場合は、経営者や総務担当者に直接聞いてみましょう。
7. 転職先の退職金制度、確認するポイント

次の職場選びでも、退職金制度の有無は大切なポイントです。
求人票の「福利厚生」欄に「退職金制度あり」の記載があるか確認するほか、面接や内定後に直接「退職金制度はありますか?」と聞くのが確実です。
社会福祉法人の園であればWAM共済に加入しているかどうかをWAMの公式サイトで調べることもできます。
退職金はすぐに目に見えるものではありませんが、長く働けば働くほど大きな差になります。転職先を選ぶ際の条件のひとつとして、意識しておきましょう。
8. 保育士の退職金に関するよくある質問

退職金について、保育士からよく寄せられる疑問をまとめました。
Q. 産休・育休中の期間は勤続年数に含まれますか?
A. 多くの場合、産休・育休期間も勤続年数に含まれます。
ただし退職金の計算基礎額(給与)への影響や、WAM共済の掛金の取り扱いは制度によって異なるため、職場の担当者に確認するのが確実です。
Q. 10年未満で辞めた場合、退職金はゼロですか?
A. 多くの職場では勤続3年以上から退職金が発生します。
3年未満では受け取れないことが多いですが、勤続年数に応じた金額が出る場合もあります。就業規則で確認しましょう。
Q. パートから正社員になった場合、パート期間も勤続年数に入りますか?
A. 職場の規定によります。
パート期間を通算する場合もあれば、正社員採用日を起算点にする場合もあります。雇用形態が変わったタイミングで確認しておくと安心です。
Q. 退職金を受け取ったあと、確定申告は必要ですか?
A. 退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を職場に提出していれば、原則として確定申告は不要です。
提出し忘れると源泉徴収されることがあるため、退職手続きの際に必ず提出しましょう。
9. まとめ:保育士の退職金、10年勤めたら何がわかる?

保育士の退職金は、公立か私立か、どの制度に加入しているかによって金額が大きく変わります。
勤続10年の場合、私立(WAM共済)では約130万円前後、公立(地方公務員)では約150万円前後が目安です。退職所得控除の非課税枠(10年で400万円)を下回るため、ほとんどの場合は税金がかからず全額を手取りで受け取れます。
支払いは退職から1〜3ヶ月後が一般的です。退職金を確実に受け取るには、制度の有無・申請手続き・勤続年数の条件を事前に確認しておくことが大切です。