「学童保育で働きたいけど、資格がないと無理?」「放課後児童支援員ってどう取るの?」
そんな疑問をお持ちの方は多いはずです。
この記事では、学童保育の資格の基本から、放課後児童支援員の取得要件・研修内容、給与への影響、令和9年度の制度改正まで、必要な情報をまとめて解説します。
- 学童保育は無資格でも働けるかどうかについて
- 放課後児童支援員の資格取得要件・研修の流れについて
- 資格の有無で給与がどう変わるかについて
1. 学童保育の資格|無資格でも働ける?まず基本を整理しよう

結論から言うと、学童保育は無資格でも働けます。
ただし「無資格で働ける」と「資格がなくてもよい」は別の話です。まずは配置基準のルールを押さえておきましょう。
「学童指導員」と「放課後児童支援員」の違い
学童保育の現場では、よく似た名称が使われますが、この2つは明確に異なります。
| 学童指導員(補助員) | 放課後児童支援員 | |
|---|---|---|
| 資格の有無 | 不要(無資格でも可) | 都道府県の認定資格が必要 |
| 法律上の位置づけ | 補助的スタッフ | 配置基準に算定される専門職 |
| 採用のされやすさ | 未経験でも応募可 | 正規・常勤での採用で優遇 |
| 給与水準 | 相対的に低め | 資格手当・処遇改善の対象 |
「学童指導員」は職種の通称で、資格の名前ではありません。
法令で定められた資格は「放課後児童支援員」のみです。
国が定めた配置基準のルール
学童保育の施設には、国の省令に基づく職員の配置ルールがあります。
- 子ども約40人以下のグループごとに、職員を2名以上配置する
- そのうち1名以上は放課後児童支援員でなければならない
- 残りの1名は補助員(学童指導員)でも可
つまり施設には必ず有資格者が必要です。
正規雇用・常勤を目指すなら、資格を持っていると採用で大きく有利になります。
2. 学童保育の資格「放課後児童支援員」とは?基本を確認しよう

放課後児童支援員は、2015年に新設された公的な資格です。
保育士のような国家資格とは異なり、各都道府県が実施する研修を修了するだけで取得できます。
この資格の特徴
- 根拠法令:放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(第10条第3項)
- 筆記試験はなく、研修を全科目受講すれば取得できる
- 国家資格ではないが、法令に基づく公的な資格として扱われる
- 認定は都道府県知事が行い、修了証が交付される
現場での需要と実態
こども家庭庁の調査(令和6年5月1日現在)によると、全国の学童クラブで働く職員は約20万人。
そのうち放課後児童支援員は約11万2,000人、補助員は約8万3,000人です。施設数が増え続けているため、有資格者の採用ニーズは高い水準が続いています。
参考:こども家庭庁「令和6年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(令和6年5月1日現在)」(PDF)
3. 学童保育の資格取得要件|自分はどのルートで受講できる?

研修を受けるには、受講資格を満たす必要があります。
大きく「実務経験なしで受けられるルート」と「実務経験が必要なルート」の2つに分かれます。
実務経験なしで受講できるルート
| 対象者 | 詳細 |
|---|---|
| 保育士 | 保育士資格の登録者 |
| 社会福祉士 | 社会福祉士の登録者 |
| 教員免許(幼〜高) | 幼稚園・小・中・高校の教員免許を持つ方 |
| 大学・大学院卒(指定6学科) | 社会福祉学・心理学・教育学・社会学・芸術学・体育学のいずれかを修めた方 |
※上記のほか、児童福祉施設の長・医師・社会福祉主事なども対象です。
実務経験が必要なルート
| 学歴・資格 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 高校卒業(学科不問) | 学童等での勤務経験2年以上(2,000時間以上) |
| 学歴不問 | 学童等での勤務経験5年以上 |
出典:こども家庭庁「放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)」
【チェックリスト】自分の受講ルートを確認しよう
以下に当てはまるものを確認してください。
| あなたの状況 | 受講ルート |
|---|---|
| ✅ 保育士・社会福祉士・教員免許を持っている | → 実務経験不要。すぐに研修に申し込める |
| ✅ 大学・大学院で指定6学科を修めた | → 実務経験不要。すぐに研修に申し込める |
| ✅ 高卒で、学童等での実務が2年(2,000時間)以上ある | → 要件クリア。研修に申し込める |
| ✅ 学歴・資格を問わず、実務が5年以上ある | → 要件クリア。研修に申し込める |
| ⬜ 上記のいずれにも当てはまらない | → まずは補助員として実務を積むところからスタート |
令和9年度の改正後は「大卒専攻不問+実務1年」も加わる予定です(詳細は7章参照)。
実際に資格を取った人の経歴は?
こども家庭庁の公式統計から、現役の放課後児童支援員がどのルートで資格を取ったかを確認できます。
経験ルートと資格ルートのどちらも同程度の割合で活用されており、学童保育は「資格がなくても目指せる」と同時に「資格があればすぐに活躍できる」という両面を持つ職種です。
| 取得ルート | 割合 |
|---|---|
| 高校卒業+実務経験2年以上 | 35.7%(最多) |
| 保育士 | 23.1% |
| 教員免許 | 21.9% |
| 大学等で指定6学科を修めた方 | 約10% |
| その他(社会福祉士・社会福祉主事等) | 残り |
最も多いのは「高卒+実務2年」ルートで、全体の約3分の1を占めています。
特別な資格がなくても、現場経験を積んでから取得した人がたくさんいます。
また保育士・教員免許の保有者も合わせて約45%おり、保育・教育分野からの転職者も多い資格です。
出典:こども家庭庁「令和6年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(PDF)
4. 学童の資格研修の内容|6分野16科目と科目免除の仕組みを解説
研修は都道府県ごとに実施されますが、カリキュラムは全国共通のガイドラインをもとに組まれています。
費用や日数など、気になるポイントをまとめました。
研修の基本情報
- 科目数:6分野・16科目(計24時間程度)
- 形式:講義・演習。令和9年度からオンデマンド受講が正式導入予定
- 費用:受講料は基本的に無料(教材費・交通費等の実費のみ)
- 修了要件:全科目の受講修了(筆記試験なし)
6分野の研修内容
| 分野 | 主な内容 |
|---|---|
| 放課後児童健全育成事業の理解 | 制度の背景・役割・運営指針 |
| 子どもの発達の理解 | 小学生の発達段階・生活の特性 |
| 放課後児童クラブの運営管理 | 記録・安全管理・保護者対応 |
| 子どもへの支援 | 遊びの意義・集団支援・個別対応 |
| 家庭・学校・地域との連携 | 保護者・学校・関係機関との協力 |
| 特に配慮が必要な子どもへの対応 | 障害のある子ども・家庭環境への配慮 |
保有資格による科目免除制度
すでに資格を持っている方は、一部科目が免除されます。
| 保有資格 | 免除となる主な科目 |
|---|---|
| 保育士 | 子どもの発達の理解に関する科目等(最大4科目) |
| 教員免許・社会福祉士 | 関連する専門分野の科目(最大2科目) |
※免除科目の範囲は都道府県によって異なる場合があります。
出典:こども家庭庁「放課後児童支援員に係る都道府県等認定資格研修ガイドラインの概要(令和8年度)」(PDF)
研修への申込み方法
研修は都道府県ごとに年1〜数回実施されます。申込みの流れは以下の通りです。
- お住まいの都道府県の実施要項・日程を確認する
- 申込書と必要書類(学歴証明・資格証明等)を提出する
- 全科目を受講し、修了証を受け取る
各都道府県の窓口や実施スケジュールは、こども家庭庁「放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)」のページからたどれます。
お住まいの都道府県名と「放課後児童支援員 認定資格研修」で検索するのも手っ取り早い方法です。
5. 学童の資格で給与はどう変わる?資格手当と待遇の実態

学童保育では、資格の有無が給与に直結します。転職前に待遇の目安を把握しておきましょう。
非常勤(パート)の場合の時給差
有資格者と補助員(無資格)の間には、時給で約50〜100円程度の差があるのが一般的です。
週20時間勤務で年換算すると、数万円規模の違いになります。
常勤(正社員)の場合の月給相場
| 雇用形態・資格 | 月給の目安 |
|---|---|
| 補助員(無資格・常勤) | 約18万〜22万円 |
| 放課後児童支援員(有資格・常勤) | 約20万〜25万円 |
※地域・施設・経験年数により異なります。あくまで目安としてご覧ください。
キャリアアップ研修で給与がさらに上がる仕組み
国の処遇改善加算により、3年目・5年目・10年目以降の支援員を対象に段階的な賃金加算が設けられています。
令和9年度の制度改正では、キャリアアップ研修の受講と処遇改善加算の連動が強化される方針が示されています。
出典:こども家庭庁「放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)」審議会報告書等
6. 学童保育で役立つ関連資格まとめ|持っていると有利なのは?
放課後児童支援員以外にも、学童保育の現場で評価される資格があります。
すでに持っている資格を活かせる場合もあるので、確認しておきましょう。
採用・現場で有利になる主な資格
| 資格名 | 特徴・活かし方 |
|---|---|
| 保育士 | 研修の受講資格を満たす。入職初日から配置基準上の支援員として働ける |
| 教員免許(幼〜高校) | 受講資格を満たす。学習支援・集団運営に強みを発揮 |
| 社会福祉士 | 受講資格を満たす。家庭支援や関係機関との連携で力を発揮 |
| 子育て支援員 | 未経験から取りやすい資格。ただし放課後児童支援員の受講資格には別途要件が必要 |
| 放課後児童育成支援師 | 日本放課後児童指導員協会が認定する民間の上位資格 |
| 認定児童厚生員 | 一般社団法人児童健全育成推進財団が認定。児童厚生二級・一級指導員、児童健全育成指導士の3段階 |
子育て支援員と放課後児童支援員の違い
よく混同されますが、子育て支援員(放課後児童コース)は補助的な位置づけの資格であり、放課後児童支援員の代わりにはなりません。
配置基準を満たすには、都道府県の認定資格研修を修了した放課後児童支援員が必要です。
保育士から学童保育へ転職する場合のポイント
保育士は学童保育への転職において、特に有利な点が3つあります。
- 入職初日から有資格者として配置基準にカウントされる:
研修を修了していなくても、保育士資格があれば配置基準上の支援員として算定されます。施設側が採用しやすいのはこのためです - 研修の一部科目が免除される:
最大4科目が免除されるため、研修の負担が軽くなります - 保育園との違いを理解したうえで転職できる:
保育園は0〜6歳が対象ですが、学童保育は小学1〜6年生が中心です。
早朝・土曜出勤が減りやすい一方、自分の意見を持ちはじめた子どもへの関わり方が求められます。
保育士として身につけたスキルはそのまま活かせます
なお、認定資格研修を修了するとキャリアアップ加算の対象になるため、転職後に受けておくのがおすすめです。
7. 学童の資格の最新情報|令和9年度から変わる3つのポイント

こども家庭庁の専門委員会(令和8年答申)で、放課後児童支援員の要件を緩和する方針が示されました。
令和9年度(2027年度)の施行に向けた主な変更点をまとめます。
① 大学・大学院卒業+実務1年で取得できるようになる
現行は大学卒業でも「指定6学科」の修了が必要ですが、改正後は専攻を問わず大学・大学院卒業+実務1年があれば受講資格を得られる見込みです。
大卒者のハードルが大きく下がります。
② 大学3年生から研修を受けられるようになる
改正後は62単位以上を修得した大学3年生から研修を受けられる見通しです。就職前に資格を取っておけるようになります。
③ オンデマンド受講が正式に認められる
改正後はオンデマンド受講が正式に可能になります。
仕事をしながら受けたい方や、地方在住の方にとって受講しやすくなります。
出典:こども家庭庁「放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)」審議会報告書等
8. 学童保育の資格とキャリアパス|無資格からでも着実に上を目指せる
無資格からスタートしても、実務経験と資格取得を組み合わせることで着実にキャリアを積み上げられます。
ステップ別キャリアプラン
ステップ1:補助員(無資格)として入職
- 子どもの見守り・生活支援などの補助業務からスタート
- 実務経験を積みながら、研修の受講資格(高卒+2年の実務)を目指す
- 施設によっては資格取得のサポート制度(受講費補助)あり
ステップ2:放課後児童支援員の資格取得
- 受講資格を満たしたら都道府県の認定資格研修に申し込む
- 全科目修了で「放課後児童支援員」として認定される
- 配置基準上の有資格者となり、採用・待遇の改善が見込める
ステップ3:キャリアアップ研修でさらに専門性を高める
- 3年目・5年目・10年目以降を目安に国のキャリアアップ研修を受講
- 処遇改善加算の対象となり、給与アップが期待できる
- リーダー・主任支援員・施設長といったポジションも目指せる
よくある質問
-
学童保育は無資格でも応募できますか?
-
はい、補助員(学童指導員)として応募できる求人は多くあります。
ただし配置基準にカウントされるポジションではないため、採用されるかどうかは施設のスタッフ構成によって異なります。
求人票で「無資格・未経験歓迎」の記載を確認するのがおすすめです。
-
保育士資格があれば、研修を受けなくても学童で働けますか?
-
はい、保育士は配置基準上の放課後児童支援員として認められるため、認定資格研修を修了していなくても支援員としてカウントされます。
ただし認定資格研修を修了するとキャリアアップ加算の対象になるなどメリットがあるため、取得を検討する価値があります。
-
子育て支援員の資格は放課後児童支援員の代わりになりますか?
-
なりません。子育て支援員(放課後児童コース)は補助的な役割の資格で、配置基準上の放課後児童支援員とは別物です。
配置基準を満たすには、都道府県の認定資格研修を修了した放課後児童支援員が必要です。
-
高卒・無資格の場合、いつから研修を受けられますか?
-
高校卒業後、学童等での実務経験を2年(2,000時間以上)積むことで受講資格が得られます。
令和9年度の改正後も、高卒・無資格の場合は実務経験が引き続き必要です。
最新の制度詳細は、お住まいの都道府県の窓口や公的機関でご確認ください。
-
研修の費用はどのくらいかかりますか?
-
都道府県が主催する認定資格研修は、受講料が基本的に無料です。
ただし教材費・交通費などの実費がかかる場合があります。
詳細は各都道府県の実施要項でご確認ください。
まとめ:学童保育の資格は取得する価値がある

学童保育の資格について、ポイントをまとめます。
- 学童保育は無資格(補助員)でも働けるが、配置基準上の専門職は「放課後児童支援員」のみ
- 保育士・教員免許・社会福祉士を持っていれば、実務経験なしで研修を受けられる
- 高卒・無資格からでも2年の実務経験を積めば受講資格を得られる。実際に支援員全体の約36%がこのルート
- 研修は6分野16科目・計24時間程度、受講料は基本無料
- 資格取得で時給・月給が上がり、処遇改善加算の対象にもなる
- 令和9年度の改正で、大卒専攻不問・実務1年化・オンデマンド受講が予定されている
保育士の方にとって、学童保育はこれまでのスキルをそのまま活かせる職場の選択肢です。
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