発達障害児支援士は国家資格?民間資格の正確な位置づけを解説の画像

発達障害児支援士は国家資格?民間資格の正確な位置づけを解説

「発達障害児支援士って国家資格なの?」「療育施設で働くには何の資格が必要?」

現場で発達に特性のある子どもへの対応に悩む保育士や、児童発達支援の職場への転職を考えている方から、よく聞かれる疑問です。

発達障害児支援士は国家資格ではなく民間資格です。日本には発達障害支援を専業とする国家資格は現在ありません。

この記事では、発達障害児支援士がどんな資格なのかを整理したうえで、療育・保育現場で必要な資格の全体像、「児童発達支援士」との違い、保育士が取得するメリットをわかりやすく解説します。

この記事を読んでわかること
  • 発達障害児支援士が国家資格かどうかの正確な答えについて
  • 療育・障がい児保育の現場で法的に必要な資格の種類について
  • 保育士が資格を取得するメリットと活用できる職場について
目次

1. 発達障害児支援士は国家資格ではない|民間資格としての正確な位置づけ

1. 発達障害児支援士は国家資格ではない|民間資格としての正確な位置づけ

「国家資格だと思っていた」という誤解はとても多いです。

まずこの点を整理しておきます。

発達障害児支援士は民間資格です。
一般社団法人日本発達障害支援協議会が認定しており、通信講座(四谷学院)を受講して認定試験に合格すると取得できます。

国家資格とは、法律に基づいて国が認定・管理する資格のことです。保育士・公認心理師・言語聴覚士などがこれにあたります。

発達障害児支援士はこれらとは異なり、国家資格には含まれません。

発達障害の対象となる障害の種類

発達障害者支援法(2004年制定)第2条では、発達障害を

「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」

と定義しています。

参考:e-Gov法令検索「発達障害者支援法」

具体的には以下の4つが対象です。

  • 自閉スペクトラム症(ASD):
    コミュニケーションや社会的なやり取りの困難、こだわり行動
  • 注意欠陥多動性障害(ADHD):
    不注意・多動・衝動的な行動
  • 学習障害(LD):
    読み・書き・計算など、特定の学習に著しい困難
  • 発達性協調運動障害(DCD):
    体の動きをうまく調整することへの困難

発達障害児支援士の学習では、これらの特性を正しく理解したうえでの支援スキルを身につけます。

日本に「発達障害専門の国家資格」はあるの?

現在、発達障害支援だけを対象にした国家資格は日本にありません。

発達障害者支援法で支援の枠組みは定められていますが、専門職を認定する国家資格制度はないのが現状です。

保育士・公認心理師・言語聴覚士・作業療法士といった既存の国家資格を持つ専門職が、発達障害支援を担っています。

2. 発達障害支援に関わる国家資格・任用資格・民間資格の全体像

2. 発達障害支援に関わる国家資格・任用資格・民間資格の全体像

療育や障がい児保育の現場で働くために必要な資格は「国家資格」「任用資格(公的資格)」「民間資格」の3種類に分かれます。

どの資格がどんな役割を持つのかを理解してから、資格選びを進めましょう。

国家資格:施設の配置基準を満たすために必要

資格名所管発達障害支援での役割
保育士こども家庭庁児童発達支援・放課後等デイサービス等の配置基準資格
社会福祉士厚生労働省相談支援・ソーシャルワーク
公認心理師文部科学省・厚生労働省心理アセスメント・カウンセリング
言語聴覚士(ST)厚生労働省コミュニケーション・言語発達の支援
作業療法士(OT)厚生労働省感覚統合・日常生活動作の支援
理学療法士(PT)厚生労働省運動機能の発達支援

国家資格の取得には3〜6年の養成期間と国家試験への合格が必要で、学費も数百万円規模になります。

任用資格:施設の人員配置基準に関わる公的資格

児童指導員任用資格

国家資格ではありませんが、児童発達支援事業所や放課後等デイサービスの配置基準に含まれる公的な資格です。

大学の社会学・心理学系学部の卒業や2年以上の実務経験など、いずれかの条件を満たせば取得でき、試験はありません。

児童発達支援管理責任者(児発管)

療育施設に1名以上の配置が義務付けられている管理職資格です。一定の実務経験と都道府県の研修修了が必要です。

参考:こども家庭庁「障害児支援施策」

民間資格:スキルアップや専門性のアピールに活用

民間資格は施設の配置基準には関係しませんが、発達障害支援の知識を体系的に学び、現場での実践力を高めるために活用されています。

3. 今すぐ国家資格が取れない保育士へ|現実的なキャリアプランの考え方

3. 今すぐ国家資格が取れない保育士へ|現実的なキャリアプランの考え方

「本当は公認心理師や言語聴覚士を取りたいけれど、今の生活で養成校に通うのは難しい」という保育士は少なくありません。

そんな方のために、働きながら専門性を高める現実的なプランを紹介します。

民間資格から始めるステップアップの流れ

STEP 1:民間資格で「発達支援の知識」を証明する

発達障害児支援士(または児童発達支援士)を取得し、現場での対応力を高めながら転職・処遇改善のアピールにつなげます。

STEP 2:「児童指導員任用資格」の条件を確認する

大学卒業や実務経験など、すでに条件を満たしている場合は追加費用なしで取得できます。

配置基準に組み込まれるため、求人上の評価が上がります。

STEP 3:中長期で国家資格を目指す

公認心理師・社会福祉士などは通信制大学や夜間課程でも取得できるルートが増えています。

民間資格で現場経験を積みながら並行して学ぶのが現実的です。

保育士がキャリアアップで使える制度

  • 保育士等キャリアアップ研修(処遇改善等加算・区分3):
    都道府県が実施する保育士等キャリアアップ研修を修了すると、処遇改善等加算(旧:処遇改善等加算II)の対象となります。
    専門分野別研修のひとつ「障害児保育」分野も対象に含まれています。
  • 職場の資格取得補助制度:
    民間資格の受講費用を補助する施設が増えています。在籍している施設の制度をあらかじめ確認しましょう。

「国家資格か民間資格か」の二択ではなく、段階的に積み上げていく考え方が、働きながら専門性を高めるうえで現実的です。

4. 発達障害児支援士の概要・費用・取得方法

受講前に費用・期間・試験の形式を確認しておくと、無理のない学習プランが立てやすくなります。

発達障害児支援士は、発達障害のある子どもへの支援に必要な知識・スキルを証明する民間資格です。

保育士や児童指導員など、すでに現場で働く専門職を対象としたやや上級の位置づけです。

基本情報

基本情報
項目内容
認定団体一般社団法人日本発達障害支援協議会
受講機関四谷学院(通信講座)
受講料税込109,780円(発達障害児専門支援士とのセット講座あり)※最新料金は四谷学院公式サイトで確認してください
標準学習期間5〜6ヶ月【要確認:最新情報は四谷学院公式サイトで確認してください】
試験形式レポート課題形式(自宅提出)
対象者保育士・教員・福祉職など支援現場の実務経験者

取得の流れ

  •  四谷学院の通信講座に申し込む
  •  動画講義・テキストで学習(標準5〜6ヶ月)
  •  認定試験(レポート課題)を提出する
  •  合格後、認定証が発行される

試験は会場でのテストではなく、自宅でレポートをまとめて提出する形式です。

学んだ内容を現場の視点で言語化することが求められます。

5. 発達障害児支援士と児童発達支援士の違いを比較|どちらの民間資格を選ぶべきか

5. 発達障害児支援士と児童発達支援士の違いを比較|どちらの民間資格を選ぶべきか

「発達障害児支援士」と「児童発達支援士」は名前が似ていて混同されがちですが、認定団体・費用・対象者レベルがそれぞれ違います。

自分に合った資格を選ぶために、まず2つの違いを確認しましょう。

2つの資格の比較表

比較項目発達障害児支援士児童発達支援士
認定団体日本発達障害支援協議会一般社団法人人間力認定協会
受講機関四谷学院(通信)人間力認定協会(通信)
受講料約109,780円約38,500円
学習期間5〜6ヶ月1〜2ヶ月
試験形式レポート課題オンライン客観式試験
合格率非公表(実務者向け)約85〜90% ※最新情報は公式サイトで確認してください
対象者保育士・教員など実務経験者向け入門〜初級レベル

どちらを選べばいいの?

これから発達障害支援を学びたい・まず入門として始めたい方は「児童発達支援士」が向いています。

費用が安く、学習期間も短め。合格率が高く取り組みやすいのも魅力です。

すでに現場で働いており、より深い知識を体系的に身につけたい方は「発達障害児支援士」が適しています。

費用・期間ともに本格的な取り組みが必要ですが、その分実務に直結した知識が得られます。

6. 発達障害支援の社会的ニーズ|公的データが示す国家資格・民間資格が注目される背景

6. 発達障害支援の社会的ニーズ|公的データが示す国家資格・民間資格が注目される背景

発達障害児支援士への関心が高まっている背景には、保育・教育現場での発達支援ニーズの急拡大があります。

通常学級で特別な支援が必要とされる割合は、平成24年の6.5%から令和4年には8.8%へと約1.35倍に拡大しています。

同じ期間に放課後等デイサービスの利用者も5.7倍に急増しており、保育・学校現場から療育施設まで、あらゆる現場で発達障害支援のニーズが高まり続けていることを示しています。

発達支援の知識はいまや特定の専門施設だけでなく、保育現場全体で求められるものになっているといえるでしょう。

通常学級の8.8%に支援が必要

文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年)」によると、公立小中学校の通常学級に在籍する児童生徒のうち、学習面または行動面で著しい困難を示す割合は8.8%に達しています。

約11〜12人に1人の割合です。

保育現場でも同様の傾向があり、加配対応や個別支援計画の作成が現場の課題となっています。

参考:文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年)」

障害児通所支援の利用者が10年で5倍以上に

こども家庭庁「障害児支援施策の現状と課題」(2024年)によると、障害児通所支援の利用者数は令和4年度時点で約45.7万人です。

放課後等デイサービスは平成24年度比で5.7倍(30.6万人)、児童発達支援は3.2倍(15.1万人)と急増しています。

こうした背景から、保育士が発達障害支援の知識を持つことの重要性は年々高まっています。

参考:こども家庭庁「障害児支援施策について

7. 保育士が発達障害児支援士を取得するメリット7選

配置基準を満たす国家資格ではありませんが、現場で働く保育士にとって実感しやすいメリットがたくさんあります。

① 発達障害への理解が深まる

ASD・ADHD・LDなどの特性を体系的に学べます。

「なんとなく感じていた違和感」を専門的な知識で理解できるようになり、子どもへの見方が変わります。

② 子どもへの適切な支援ができる

特性に合った声かけや環境調整の方法を習得できます。

「どう対応すればいいかわからない」という現場での迷いが減り、より自信を持って子どもに関われるようになります。

③ 困った場面への対処法が身につく

パニック・他害・こだわりなど、対応に困る場面への具体的なアプローチを学べます。

現場での判断に迷う時間が減り、落ち着いた対応につながります。

④ 早期発見・早期支援につながる

発達特性に早く気づくポイントを知ることで、専門機関への相談タイミングを判断しやすくなります。

保護者への伝え方も学べるため、家庭との連携もスムーズになります。

⑤ より専門性の高い資格へのステップになる

上位資格として「発達障害児専門支援士」があり、セット受講も可能です。さらなるキャリアアップへの足がかりになります。

⑥ 資格手当や評価につながる可能性がある

施設によっては民間資格の取得に資格手当を設けているところもあります。

転職・採用面接での専門性のアピールにもなります。勤務先の制度は事前に確認しておきましょう。

⑦ 活躍できる職場の選択肢が広がる

発達支援の知識を持つ保育士は、児童発達支援センター・放課後等デイサービスなど、幅広い職場で求められます。

8. 発達障害児支援士の資格を活かせる職場一覧

発達障害支援の知識を身につけた保育士が活躍できる職場は、保育園だけではありません。

転職や職場の幅を広げたい方は、どんな現場で評価されるかをチェックしておきましょう。

職場主な役割
児童発達支援事業所未就学の障害児への療育・個別支援
放課後等デイサービス小〜高校年代の障害児の放課後支援
児童発達支援センター地域の中核的な療育支援
保育所・認定こども園加配保育士として発達特性のある子への個別対応
特別支援学校(放課後支援)重度障害児の放課後プログラム支援
乳児院・児童養護施設発達課題を抱える子どもへの生活支援

なお、児童発達支援事業所・放課後等デイサービスで働くために必要な資格は、保育士・児童指導員任用資格・理学療法士等の国家資格・任用資格です。

発達障害児支援士はこれらの代わりにはならず、スキルアップ資格としての位置づけになります。

よくある質問

発達障害児支援士は履歴書に書けますか?

書けます。民間資格も履歴書の「資格・免許」欄に記載できます。

「発達障害児支援士(日本発達障害支援協議会認定)」と正式名称で書くのが一般的です。

「意味ない」「怪しい」という声を聞きますが本当ですか?

「意味ない」という声は、主に「施設の配置基準を満たせない」という点から来ています。

現場での対応力アップや転職でのアピールという点では実際に役立っています。

国家資格の代わりではなく、スキル証明として使うものと理解しておきましょう。

「発達障害児支援士があれば療育施設で働ける」は本当ですか?

これは誤りです。配置基準を満たすには保育士・児童指導員任用資格・理学療法士等が必要です。

発達障害児支援士ではこれらの代わりにはなりません。

転職の際は求人票の「必須資格」欄を必ず確認しましょう。

保育士資格なしでも取得できますか?

受講自体は保育士資格がなくても可能です。

ただし、現場経験がある方を主な対象として設計されているため、実務経験がある方のほうがより活かしやすい資格です。

受講費用を会社に補助してもらえますか?

勤務先の方針によります。スキルアップのための費用を補助する施設は増えています。

保育士等キャリアアップ研修(処遇改善等加算・区分3)の「障害児保育」分野とは別の制度なので、混同しないよう注意が必要です。

事前に上司や人事に確認してみましょう。

まとめ:発達障害児支援士は民間資格 現場力を高めるツールとして活用しよう

まとめ:発達障害児支援士は民間資格 現場力を高めるツールとして活用しよう

発達障害児支援士は民間資格であり、施設の配置基準を満たすには保育士などの国家資格・任用資格が別途必要です。

一方で、通常学級の8.8%・障害児通所支援45.7万人というデータが示すとおり、現場での発達支援ニーズは高まり続けています。

「発達障害児支援士」と「児童発達支援士」は別の資格で認定団体・費用・難易度が異なるため、自分の経験レベルや目的に合わせて選ぶことが大切です。

民間資格→任用資格→国家資格のステップアップが、働きながら専門性を高める現実的なプランです。

現場での対応力を高めながらキャリアを広げていくための一歩として、発達障害児支援士の取得を検討してみましょう。

あなたに合った
求人を見つけよう!

転職・求人情報はもちろん、
転職のノウハウなどお役立ちコンテンツで、
あなたの転職活動をサポートします。