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公立保育園の給料はいくら?私立との違いや年収・手取りを解説

「公立の保育園は給料が安定していて高い」とよく耳にしますが、実際にどのくらいもらえるのか、私立とどう違うのかは意外と知られていません。

公立保育園で働く保育士は地方公務員にあたり、給料が決まる仕組みそのものが私立とは異なります。

こども家庭庁の調査では、公立保育所の常勤保育士の平均給与月額(賞与込み)は約36万3千円、年収換算で約436万円で、私立(約410万円)を約26万円上回っています。

この記事では、公立保育園の保育士の給料や年収を公的データで確認し、私立との違いや年齢・地域による差、退職金などの待遇、採用試験の注意点までわかりやすく整理します。

この記事を読んでわかること
  • 公立保育園の保育士の給料が決まる仕組みと、平均月給・年収の目安について
  • 公立と私立で給料がどう違うのか、年齢や役職ごとの差について
  • 地域手当や退職金など公立ならではの待遇と、働くための採用試験・今後の動向について
目次

1. 公立保育園の保育士の給料の仕組み|まずは基本を確認

1. 公立保育園の保育士の給料の仕組み|まずは基本を確認

公立保育園の給料を理解するうえで欠かせないのが「保育士は地方公務員である」という点です。給料が決まるルールが私立とは違うため、まずここを押さえましょう。

公立保育園の保育士は「地方公務員」

公立保育園は市区町村などの自治体が運営しています。そこで働く正規の保育士は、市役所や区役所の職員と同じ地方公務員という立場です。

そのため給料や手当、休暇、退職金などの待遇は、園ごとの経営状況ではなく自治体のルールに沿って決まります。園の収入に左右されにくいことが、公立の給料が「安定している」と言われる理由です。

給料は「給料表」で決まる

地方公務員の給料は、自治体が定める給料表という一覧表で決まります。給料表は「級」と「号給」の2つの軸で構成されています。

つまり、勤続年数に応じて自動的に給料が上がる「定期昇給」が整っているのが特徴です。この仕組みが、年齢を重ねるほど公立と私立の差が広がる理由につながります。

参考:総務省「地方公務員給与実態調査結果の状況」

2. 公立保育園の保育士の給料・年収はいくら?【公的データ】

2. 公立保育園の保育士の給料・年収はいくら?【公的データ】

公立保育園の給料の実態を、こども家庭庁が全国の保育施設を対象に実施した最新の調査データで確認します。

平均月給と年収の目安

こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」によると、公立保育所で働く常勤保育士の給料は次のとおりです。

  • 平均給与月額(賞与込み):約36万3千円
  • 年収換算(月額×12):約436万円(平均勤続年数10.6年)

この「給与月額」は、毎月の給料にボーナス(賞与)を12か月で割った分を足した金額です。実際の毎月の給料は、ここからボーナス分を除いた額になります。

額面と手取りの違い

給料でよく混同されるのが「額面」と「手取り」です。

  • 額面:税金や社会保険料が引かれる前の金額
  • 手取り:額面から所得税・住民税・社会保険料・共済掛金などを引いて、実際に振り込まれる金額

手取りは額面のおおよそ75〜85%が目安です。求人票の金額は額面表示が多いため、実際に使える額はそれより少なくなります。

ボーナス(期末・勤勉手当)の目安

公立保育園の保育士のボーナスは「期末手当」「勤勉手当」と呼ばれ、年2回(6月・12月)支給されます。支給月数は国家公務員の基準に連動し、近年は年間で給料の約4.6か月分が目安です。

業績で大きく上下することが少なく、毎年安定して支給されやすいことが公立の強みです。

参考:こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」総務省「地方公務員給与実態調査結果の状況」

3. 公立保育園と私立保育園の給料の違いを比較

3. 公立保育園と私立保育園の給料の違いを比較

「公立と私立、結局どちらが給料が高いの?」という疑問に、同じ調査で答えます。ポイントは、勤続年数や役職によって差の大きさが変わることです。

役職別に見た公立・私立の年収比較

こども家庭庁の調査から、常勤職員の年収(給与月額×12で換算)を職種別に比較すると、次のようになります。

職種公立(地方公務員私立
保育士約436万円(勤続10.6年)約410万円(勤続11.4年)
主任保育士約676万円(勤続23.7年)約567万円(勤続22.9年)
施設長(園長)約774万円(勤続29.8年)約696万円(勤続26.7年)

いずれの職種でも公立が私立を上回ります。注目したいのは、役職が上がると差が広がる傾向があり、なかでも主任クラスで公私差が最も大きくなる点です。

一般の保育士では約26万円の差ですが、主任クラスでは年間で約110万円もの差が開きます(施設長では約78万円)。

なお、公立の平均年収が高めに出るのは、平均勤続年数が長く年齢層が高いことも一因です。

同じ役職でも公立のほうが平均勤続年数が長く(施設長で公立29.8年・私立26.7年など)、年収差は給与水準の差だけでなく「長く働き続けられること」の差も反映しています。

表の金額は平均であり、若手のうちはこれより低めになる点は押さえておきましょう。

若手のうちは大きな差が出にくい

新卒や20代前半では、公立と私立の初任給に大きな差はありません。私立でも処遇改善が進み、初任給の水準が上がっているためです。

「公立は最初から給料が高い」というより、働き続けるほど差が積み上がっていくと考えるほうが実態に近いでしょう。

非常勤(パート)で働く場合の給料

公立保育園で非常勤として働く場合、給料水準は常勤と異なります。同じ調査では、公立の非常勤保育士の給与月額は約20万円(賞与込み・常勤換算)です。

公務員として安定した給与体系の恩恵を十分に受けられるのは、基本的に採用試験を経た正規職員です。パートや会計年度任用職員は待遇が変わるため、求人内容をよく確認しましょう。

参考:こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」

4. 【年齢・経験年数別】公立保育園の給料の上がり方

公立保育園の給料の大きな魅力は、年齢や経験を重ねるほど着実に上がっていくことです。その仕組みと、年代ごとの年収の目安を見ていきましょう。

経験年数を積むほど上がる仕組み

公立保育園の保育士の給料は、給料表に沿って毎年1号給ずつ上がります。景気や園の業績に左右されず基本給が積み上がるため、将来の見通しを立てやすいのが特徴です。

私立では勤続4〜5年ほどで昇給が頭打ちになるケースも指摘されますが、公立はベテランになっても昇給が続きやすく、これが生涯年収の差につながります。

年代別の年収の目安

年代ごとの年収の目安は、おおむね次のように推移します(自治体や地域手当によって差があるため、あくまで参考の目安です)。

4. 【年齢・経験年数別】公立保育園の給料の上がり方

20代のうちは特別高いわけではありませんが、40代・50代と経験を重ねるにつれて年収は大きく伸びます。長く働くほど、公立の給料体系は力を発揮します。

参考:総務省「地方公務員給与実態調査結果の状況」

5. 地域で変わる公立保育園の給料|地域手当と初任給の目安

同じ公立保育園の保育士でも、働く地域によって給料は変わります。その主な理由が「地域手当」です。

地域手当とは

地域手当は、物価や民間賃金の水準が高い地域で働く公務員に上乗せされる手当です。基本給に一定の割合をかけて計算され、都市部ほど支給率が高くなります。

そのため、東京都心などでは基本給に数万円が上乗せされますが、地域手当のない自治体ではつきません。この差が、地域による年収の開きを生む大きな要因です。

主要自治体の初任給の目安

初任給は自治体ごとに定められています。おおよその目安は、学歴によって次のとおりです(自治体により異なります)。

  • 大学卒程度:月額 約19〜22万円台
  • 短大卒程度:月額 約17〜19万円台

ここに地域手当などが加わるため、都市部では支給額がさらに高くなります。志望する自治体の具体額は、人事委員会や採用ページの初任給基準で確認できます。

参考:総務省「地方公務員給与実態調査結果の状況」

6. 給料以外も安定|公立保育園ならではの待遇・福利厚生

6. 給料以外も安定|公立保育園ならではの待遇・福利厚生

公立保育園の魅力は毎月の給料だけではありません。長く働くほど効いてくる、公務員ならではの手厚い待遇があります。

退職金が手厚い

公立保育園の保育士の退職金は、公務員の退職手当制度に沿って支給されます。

勤続年数が長いほど金額は大きくなり、定年まで勤めた場合は約2,000万円前後が目安とされます(自治体により変わります)。

私立では退職金の有無や金額が運営法人によって大きく異なるため、この安定性は公立の大きな強みです。

共済組合による社会保障

公立保育園の保育士は地方公務員共済組合に加入します。年金や医療、休業時の給付などが手厚く、生活の安心につながります。

休暇や産休・育休の取りやすさ

産前産後休業や育児休業、有給休暇などの制度が整い、取得ルールも明確です。制度が確立しているぶん、ライフイベントを迎えても働き続けやすい環境です。

7. 公立保育園で働くには?給料を得るまでの採用試験と注意点

安定した給料や待遇が魅力の公立保育園ですが、働くには公務員採用試験の突破が必要です。あわせて、知っておきたい注意点も紹介します。

公務員採用試験に合格する必要がある

公立保育園で正規職員として働くには、自治体が実施する保育士(保育職)の採用試験に合格しなければなりません。

試験は筆記(教養・専門)に加えて面接や実技が課されることが多く、自治体によっては倍率が高くなります。

保育士資格を持っているだけでは働けない点が、私立への就職・転職との大きな違いです。

合格後に「採用待ち」になることがある

採用試験に合格すると、多くの自治体では「採用候補者名簿」に登録されます。名簿に載ってもすぐ採用されるとは限らず、欠員の状況によっては採用まで時間がかかる「採用待ち」が生じることがあります。

数年ごとに異動(配属替え)がある

公務員である以上、数年ごとに同じ自治体内の別の園へ異動することがあります。勤務地や園を自由に選び続けるのは難しく、環境の変化への柔軟さが求められます。

給料や待遇の安定と引き換えに、こうした公務員特有のルールがある点も理解したうえでキャリアを選びましょう。

8. 公立保育園は今後どうなる?民営化の動向と給料への影響

8. 公立保育園は今後どうなる?民営化の動向と給料への影響

「公立に入れば一生安泰」と考える人は少なくありませんが、近年は公立保育園の民営化が各地で進められてきました。給料や身分にどう影響するのかを整理します。

公立保育園の民営化が進む背景

自治体の財政負担の軽減や園舎の老朽化、人口減少などを背景に、公立保育所を民間法人へ引き継ぐ「民営化」が各地で進められてきました。

国の資料でも、人口減少地域を中心に、保育所の統廃合や規模の縮小、多機能化などの検討が課題として挙げられ、地域によっては定員充足率の低下が進んでいます。

こうした流れのなかで新規採用の枠が限られやすいことも、採用試験の倍率が高くなる一因と考えられます。

参考:こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(令和7年4月1日)」

民営化されても給料・身分はどうなる?

民営化には、園の運営を丸ごと民間へ引き継ぐ「移管(民設民営)」と、運営主体は自治体のまま業務を委託する「委託(公設民営)」があります。

ただし、勤めている園が民営化されても、正規職員がただちに公務員の身分を失うわけではありません。

国の検討会資料でも、公立保育所は「公務員として身分が保障された保育士の存在」など、民間とは異なる性質をもった施設だと指摘されています。

多くの場合は、同じ自治体内の別の公立施設や部署へ配置転換される形で対応されると考えられます。給料や身分の安定という強みとあわせて、施設の統廃合や再編といった変化も知っておくと安心です。

参考:厚生労働省「人口減少地域等における保育所の在り方に関する検討会」資料

9. 公立保育園の給料が向いている人・私立が向いている人

9. 公立保育園の給料が向いている人・私立が向いている人

ここまでをふまえ、公立と私立のどちらが自分に合うかを整理します。給料の高さだけでなく、働き方や大切にしたいことで選ぶのがポイントです。

公立保育園(給料の安定・長期勤続)が向いている人

  • 景気や園の経営に左右されず、安定した給料で長く働きたい人
  • 定期昇給や退職金など、生涯にわたる収入の見通しを重視する人
  • 産休・育休などの制度が整った環境で働き続けたい人

私立保育園が向いている人

  • 採用試験を経ずに、資格を活かして早く働き始めたい人
  • 勤務地や園の特色(教育方針・行事など)を自分で選びたい人
  • 若いうちから役職や好条件を積極的に狙いたい人

公立は「安定して積み上げる」、私立は「選びやすさと柔軟さ」が強みです。どちらが上ということではなく、自分が大切にしたい働き方に合うほうを選ぶとよいでしょう。

よくある質問

公立保育園の採用試験に年齢制限はありますか?

年齢制限は自治体ごとに異なります。

従来は上限を設ける自治体が多くありましたが、近年は保育人材確保のため上限を引き上げたり撤廃したりする動きも見られます。

志望する自治体の受験案内で、その年度の年齢要件を必ず確認してください。

公立保育園の保育士は副業できますか?

正規職員は地方公務員にあたり、営利企業への従事などが原則として制限され、行う場合は任命権者の許可が必要とされています。

可否や範囲は各自治体の規程によって異なるため、副業を検討する際は勤務先の服務規程を確認してください。

まとめ:公立保育園の給料は「安定して積み上がる」のが強み

まとめ:公立保育園の給料は「安定して積み上がる」のが強み

公立保育園の保育士は地方公務員として、給料表に沿って毎年着実に昇給していきます。こども家庭庁の調査では平均年収は約436万円で私立を上回り、役職が上がるほどその差は大きくなります。

さらに、年約4.6か月分のボーナス、約2,000万円前後が目安とされる退職金、共済組合による社会保障など、長く働くほど効いてくる待遇の手厚さも公立ならではの魅力です。

一方で、公立で働くには公務員採用試験の合格が必要で、採用待ちや異動、施設の再編といった注意点もあります。

目先の月給だけでなく、生涯にわたる安定と自分に合った働き方という視点で、公立という選択肢を検討してみてください。

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