11月は、秋が深まり、冬の入り口へと向かう月です。
発表会・七五三・勤労感謝の日……行事を通じて「こんな季節があったんだ」という記憶が、子どもたちの心に深く刻まれます。
一方で、気温がぐっと下がり、空気も乾燥してくる時期。体調管理と防寒対策への配慮がより一層欠かせなくなります。
子どもの健康を守りながら、深まる秋の体験をじっくりと楽しんでもらうことが、11月の保育の大きなテーマです。
この記事では、11月の保育行事を一覧で整理しつつ、それぞれのねらいや現場での取り入れ方を解説します。
11月はどんな保育行事がある?

11月の主な保育行事・テーマ
このように11月は、子どもたちが「できるようになった」ことを発揮し、日本の文化や季節の変化と出会う月です。
行事を点として捉えるのではなく、日々の保育とつなげながら積み重ねることで、行事の意味がより深まります。
気温の低下と乾燥が進むこの時期の体調変化にも目を向けながら、子どもたちと一緒に秋から冬への移ろいを感じることを大切にしましょう。
発表会・お遊戯会|保育園での取り入れ方とねらい

保育園の発表会はどう行う?
発表会・お遊戯会は、子どもたちが日ごろの保育で楽しんできた歌・劇・ダンスなどを、保護者や友だちに向けて発表する行事です。
多くの保育園で11〜12月に実施される、一年間の大きなハイライトの一つです。
「完璧な舞台を見せること」よりも、子どもが「やってみたい」「みんなと一緒にやってきた」という達成感を積み重ねることが、保育園の発表会の本質です。
規模は園によってさまざまですが、「子どもが主役になれる仕掛け」を意識することがポイントです。保護者が「わが子の成長」を感じられる場を大切にしましょう。
年齢別の関わり方と発達への効果
発表会のねらいは「上手に仕上げること」ではありません。
「みんなと一緒にやり遂げた」という経験が、子どもの自信の土台になることが本質です。
練習期間中の配慮点
- 繰り返しの練習で疲れが出やすい時期。休息と水分補給を丁寧に確保する
- 「できない」と感じる子どもへの声かけは、比較せず個人の変化を認める
- 気温が下がる中での外練習は、衣服調整と体調観察を徹底する
- 練習が「楽しい」と感じられる雰囲気づくりを意識する
壁面・製作とのつなげ方
発表会のテーマや演目に合わせた壁面製作は、子どもたちの期待感を高めます。
子どもが作ったプログラムや背景セットを当日に飾ったり、「自分たちで作った舞台」として保育室を彩ったりすることで、「自分が参加している行事」という感覚が生まれます。
保護者への説明文例
「今月は発表会に向けて、歌や劇の練習を楽しんでいます。
「上手に見せること」より、みんなで一緒にやり遂げる達成感を大切に進めています。
詳細は別途ご案内いたします。当日は子どもたちのいきいきとした姿をぜひお楽しみください。」
七五三|保育園での取り入れ方とねらい

七五三とは?子どもへの伝え方
七五三は、3歳・5歳・7歳の子どもの成長を祝い、これからも健やかに育つよう神様にお参りする、日本の伝統行事です。11月15日に行われます。
保育園では宗教的な意味合いよりも、「みんなの成長をみんなでお祝いする、日本の大切な習慣」として伝えるのが一般的です。
「大きくなったね、おめでとう」という言葉だけで十分伝わります。
保育園で七五三を取り扱う意味
七五三のねらいは、自分の成長を喜び、周りへの感謝の気持ちを育むことです。
「大きくなってきた自分」に気づく体験が、子どもの自己肯定感をやさしく育てます。
0〜5歳児への伝え方のポイント
年齢によって、理解の深さは異なります。
「知識として教えること」より、「大きくなった自分を嬉しいと感じる経験」そのものを大切にすることがポイントです。
家庭環境の差への配慮
お参りに行く家庭もあれば、特に行事をしない家庭もあります。
七五三の対象(3歳・5歳・7歳)ではない子も、一緒に「みんなのお祝いをする日」として参加できる形にしましょう。
「大きくなったことをみんなで喜ぶ」という形で広く受け取れる伝え方をすることで、どの子も自分なりに行事と関われます。
壁面・製作とのつなげ方
千歳飴・折り鶴・菊・紅葉など、七五三のモチーフは壁面製作に取り入れやすいものばかりです。
子どもが作った千歳飴袋や着物の折り紙を飾ったり、「みんなのおめでとう飾り」として保育室を彩ったりすることで、「自分が作ったもので行事を楽しむ」体験が生まれます。
保護者への説明文例
「今月は七五三に合わせて、子どもたちの成長を一緒にお祝いしました。
ご家庭でも、「こんなに大きくなったね」とお子さんの成長を振り返る時間を、ぜひ作ってみてください。」
勤労感謝の日|保育園での取り入れ方とねらい
勤労感謝の日とは?子どもへの伝え方
勤労感謝の日(11月23日)は、働くことの大切さを認め合い、お互いの労苦に感謝し合う、日本の国民の祝日です。
保育園では難しい説明よりも、「毎日お仕事をして、私たちのことを支えてくれている人に『ありがとう』を伝える日」として伝えるのが一般的です。
「ありがとうって言いたい人は誰かな?」という問いかけだけで、子どもの心に届きます。
保育園で勤労感謝の日を取り扱う意味
勤労感謝の日のねらいは、働く人への感謝の気持ちを育て、自分の生活が多くの人に支えられていることに気づく力を育むことです。
「誰かのために何かをする」という感覚が、この行事を通じて芽生えていきます。
0〜5歳児への伝え方のポイント
「ありがとう」を言葉にすること以上に、「誰かに感謝したい」という気持ちが生まれること自体を大切にすることがポイントです。
壁面・製作とのつなげ方
感謝の気持ちを込めた手紙・メダル・絵などを製作し、保護者や身近な大人に渡す体験は、子どもの喜びにつながります。
子どもが作ったプレゼントを手渡しする場面を設けることで、「伝えることができた」という達成感が生まれます。
保護者への説明文例
「今月は勤労感謝の日に合わせて、働く人への感謝についてお話ししました。
子どもたちが「ありがとう」を込めて作ったプレゼントをお渡しします。
ご家庭でもぜひ受け取ってあげてください。」
秋の落ち葉・木の実遊び(自然体験)|11月の季節行事のねらい

保育園での秋の落ち葉・木の実遊びはどう行う?
色とりどりの落ち葉・まつぼっくり・どんぐり……11月は秋の深まりを自然の中でリアルに感じられる、最後のチャンスともいえる季節です。
「特別な遠足」として計画することもできますが、園庭や近隣の公園でも十分に晩秋の深まりを体感することができます。
年齢別の関わり方と発達への効果
自然体験のねらいは「知識を覚えること」ではありません。
「季節が移り変わっていく」ことに気づく感性を育てることが、幼少期の自然体験の本質です。
安全に楽しむための配慮点
- 木の実・どんぐりを口に入れないための声かけ
- 気温の低下に合わせた衣服調整の呼びかけ(保護者と共有)
- 濡れた落ち葉による転倒への注意
- 散歩・遠足時の交通安全・人数確認の徹底
製作・壁面とのつなげ方
集めてきた木の実・落ち葉をテーマに製作へつなげると、体験と表現が結びつきます。
まつぼっくりのツリー・落ち葉のスタンプ・どんぐりを使ったコラージュなど、「見つけてきたものを作る・飾る」喜びが自然体験をより深めます。
連絡帳・おたよりに使える説明文
「今日は散歩でまつぼっくりや色づいた落ち葉をたくさん見つけました。『これ大きい!』『いろんな色がある!』と大興奮の子どもたち。
明日は集めた自然物を使って製作を楽しもうと思います。」
防寒対策・生活リズムの調整|11月の保健行事

なぜ11月に生活リズムの調整が必要なのか
11月は、気温がぐっと下がり、空気の乾燥が本格的に始まる時期です。
日照時間も短くなり、体内時計が乱れやすく、風邪・インフルエンザが広がりやすい月でもあります。
「寒くなってきたな」という感覚と生活リズムの見直しを、子どもとともに丁寧に行うことが特に重要です。
年齢別の関わり方
「ちゃんとやりなさい」という指示より、「自分の体を大切にする」感覚を育てることが、子どもの主体性を伸ばします。
寒さ・乾燥への安全管理の工夫
- 朝晩の冷え込みに合わせた衣服調整を保護者と共有する
- 空気が乾燥する時期。手洗い・うがいの習慣を丁寧に声かけする
- 室温・湿度を確認し、暖房と加湿のバランスを整える
- インフルエンザの流行に備えた情報共有と感染防止の徹底
保護者への説明文例
「11月に入り、気温が下がり乾燥も進んできました。風邪やインフルエンザが流行しやすい時期です。
脱ぎ着しやすい服装でのご登園と、手洗い・うがいへのご協力をお願いします。
体調の変化を感じた際はお気軽にご連絡ください。」
避難訓練(11月)|暖房器具を想定した火災安全教育
11月の避難訓練はどう行う?
空気が乾燥する秋から冬にかけては、火災が起こりやすくなる季節です。
また、暖房器具を使い始める時期でもあり、11月は暖房器具の取り扱いを含めた火災を想定した避難訓練を実施する園が多くあります。
「火事のときはどこに逃げるか」「煙を吸わないように口を覆う」といった動きを、年齢に合わせて繰り返し体験しておきましょう。
地域の消防署と連携した訓練や、暖房器具の安全な使い方の確認を取り入れる園もあります。
年齢別の関わり方
完璧な訓練よりも、「先生の声を聞いて、一緒に動ける」という経験を丁寧に積み重ねることが大切です。
保護者への説明文例
「今月は火災を想定した避難訓練を行いました。煙を吸わないように口を覆って避難する練習をしました。
ご家庭でも、暖房器具の安全な使い方や、火事のときの約束についてぜひ話し合ってみてください。」
11月の保育行事と「深まる秋の子どもの姿」

11月に起きやすい子どもの姿
- 気温の低下による体調不良・鼻水・咳の増加
- 発表会の練習で気持ちが高ぶったり、緊張したりしやすい
- 日照時間が短くなり、活動量が落ちやすい
- 季節の変わり目で食欲が変化したり、疲れが出やすかったりする
これらはすべて、子どもが季節の変化と行事への期待に正直に反応しているサインです。
問題として捉えず、体と気持ちの両方を丁寧に見守ることが保育士の腕の見せ所です。
発表会練習を「楽しい」にする視点
発表会の練習は、繰り返しになりやすい分、「できるようになった」という小さな成長を見つけて言葉にすることが子どもの意欲を保つ鍵です。
「上手だね」より「昨日より声が大きくなったね」「最後まで頑張ったね」という具体的な声かけが効果的です。
保育行事を生活リズムにつなげる視点
行事は「特別な日」ではなく、「ここにいると楽しい」という記憶を積み重ねる機会です。
発表会・七五三・勤労感謝の日・落ち葉遊び——どの行事も、秋から冬へと移ろう季節と生活と結びついた「生きた学び」の一場面として位置づけましょう。
年齢別|11月の保育行事の関わり方
0歳児:感触・冷たさ・音で晩秋を感じる
行事への参加よりも、落ち葉のカサカサした感触・まつぼっくりのゴツゴツした形・冷たくなってきた空気といった感覚的な体験がこの時期の中心です。
特定の保育士との信頼関係を基盤に、安心した環境で晩秋の季節に触れられるよう配慮しましょう。
1・2歳児:試す・驚く・繰り返す
好奇心と慎重さが混在する年齢です。落ち葉遊びや秋の製作では、「やってみたら楽しかった」という経験を意識的に積み重ねることがポイントです。
「もう一回!」という繰り返しの要求を大切に受け止めましょう。
3〜5歳児:理由を知り、表現し、友だちと楽しむ
「なぜ葉っぱが落ちるの?」「どうして寒くなるの?」という問いが生まれてくる年齢です。
子どもの「なぜ?」を受け止め、一緒に絵本で調べたり観察を続けたりする関わりが、知的好奇心を育てます。発表会も、意味を理解した上で友だちと力を合わせて楽しめるようになります。
11月の保育行事でよくある質問

発表会を嫌がる・緊張しやすい子への対応は?
まず「緊張する気持ち」「やりたくない気持ち」を受け止めることが先決です。
無理に舞台に立たせようとせず、信頼できる保育士のそばで少しずつ慣れさせながら、「やってみたら楽しかった」という体験を少しずつ積み重ねることが大切です。
七五三の対象年齢外の子への配慮は?
七五三の対象(3歳・5歳・7歳)ではない子も、一緒に「みんなのお祝いをする日」として参加できる形にしましょう。
全員で成長をお祝いする雰囲気を大切にすることで、どの子も疎外感なく行事に関わることができます。
勤労感謝の日のプレゼントを保護者に渡すタイミングは?
お迎えの時間や降園時に渡すのが一般的です。
「〇〇ちゃんが心を込めて作りました」と一言添えることで、子どもの気持ちが保護者に届きやすくなります。
事前におたよりで予告しておくと、保護者もより喜んで受け取れます。
落ち葉遊びで転倒が心配な場合は?
濡れた落ち葉はとても滑りやすくなります。遊ぶ前に地面の状態を確認し、滑りやすい場所では活動範囲を限定しましょう。
靴の底が滑りにくいものを選んでもらうよう、保護者への事前共有も大切です。
行事が負担にならない工夫は?
準備を簡素化し、子どもの姿を最優先に考えましょう。
「やること」より「子どもがどう感じるか」を軸にすると、行事の見直しがしやすくなります。
11月は発表会準備と複数の行事が重なるため、チームで役割を分担し、無理のない計画を立てることが特に重要です。
まとめ|11月の保育行事は”深まる秋の中で、できたことを確かめる時間”

11月の保育行事は、子どもたちが深まる秋の中で「ここまでできるようになった」ことを発揮し、友だちや大人への感謝を形にするための、大切な積み重ねです。
行事の準備に追われる中でも、発表会で練習してきた歌を友だちと声を合わせる瞬間、七五三の飾りを誇らしげに眺める姿、「ありがとう」を伝えてにっこりする表情を見逃さない余裕を持てるよう、チームで分担しながら無理のない計画を立てることが大切です。
秋を「ただ寒くなる季節」ではなく、「この季節だからこそできること」に変えていく——その視点が、子どもたちの豊かな11月をつくります。